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がん診療連携拠点病院等の院内がん登録、2013年3年生存率、 2010~11年5年生存率公表国立研究開発法人国立がん研究センター


  • [公開日]2019.12.14
  • [最終更新日]2019.12.14

2019年12月14日、国立研究開発法人国立がん研究センター(以下、国立がん研究センター)は、全国のがん診療連携拠点病院等から収集した院内がん情報を用いて、(1)2013年に診断された患者の3年を経過した生存率(2013年3年生存率集計)と、(2)2010年、2011年に診断された患者について、治癒の目安とされる5年を経過した生存率(2010-11年5年生存率集計)について報告書をまとめ、同センターのウェブサイトで公開した。

報告書のポイント

2013年がん診療連携拠点病院等院内がん登録3年生存率集計

2013年院内がん登録データがん診療連携拠点病院等294施設、都道府県推薦病院36施設、合計330施設373,522例を用いて3年生存率集計を実施し、より早い段階での生存率情報を提供した。今回は3回目の報告。

2010-11年がん診療連携拠点病院等院内がん登録5年生存率集計

各医療機関が、自らの医療の質を見直すきっかけとなるデータを提供すること、データを提供すること、国民に情報を公開することで、がん医療の透明性を確保すること等を目的として、がん診療連携拠点病院等の生存率を集計(本集計は2007年診断例より行っており、今回は5回目の報告)。

今回の報告では、2010年、2011年の2ヵ年分のデータがん診療連携拠点病院等297施設、都道府県推薦病院21施設、合計318施設650,019例を用いて、ある程度の対象数を担保した上で2009-2010年5年生存率集計報告書と同様、施設別に、主要5部位・病期別の生存率を集計した。

当該生存率は、施設間で患者構成等に偏りがあるため、各施設の生存率がただちに当該施設の治療成績を示すわけではないこと、さらに施設間の比較には適さない。

2013年3年・2010-11年5年生存率集計の特別集計

特別集計として、胃がん、大腸がん、肝がん、肺非小細胞がん、女性乳がんについて、患者の年齢・病期別の生存率を集計した。

同じがん・病期であっても、個々の患者の生存率は様々な要因によって異なる。その中でも年齢は大きな要因で、例えば乳がんII期の5年実測生存率をみると、全体では91.4%だが、40歳代では95.9%なのに対して70歳以上では90%を下まわる。このように生存率をみるときには、年齢を含め患者の個別性を考慮することが必要である。

2013年がん診療連携拠点病院等院内がん登録3年生存率集計

概要

多くのがんでは、一つの治癒の目安として5年後の生存状況がこれまで用いられてきた。

平成30年3月に閣議決定された第3期がん対策推進基本計画では、「国は、国民が必要な時に、自分に合った正しい情報を入手し、適切に治療や生活等に関する選択ができるよう、科学的根拠に基づく情報を迅速に提供するための体制を整備する」としていることから、国立がん研究センターでは、前回から引き続きがん診療連携拠点病院等のデータを用い、5年生存率より早い段階の3年生存率集計を行った。

今回の集計は、前回同様、胃、大腸、肝臓、肺、乳房、食道、膵臓、子宮頸部、子宮体部、前立腺、膀胱、喉頭、胆嚢、腎、腎盂尿管の15部位について、部位・病期別等に生存率を集計した。

集計方法

2018年4月時点のがん診療連携拠点病院等443施設、都道府県推薦病院256施設で初回治療を開始した例を調査対象とし、そのうちデータが提供された433施設(がん診療連携拠点病院等369施設、都道府県推薦病院64施設)の中で、2013年診断例の全がんにおける生存状況把握割合が90%以上であった330施設(がん診療連携拠点病院等294施設、都道府県推薦病院36施設)の373,522例を集計対象とした。

集計対象例

・2013年1月1日~12月31日までの1年間にがんと診断された例
・自施設で初回治療を開始した例で、悪性新生物<腫瘍>(脳・中枢神経系良性腫瘍を含む)かつ年齢が0-99歳であった例

集計項目

<全体集計>
部位別(胃、大腸、肝臓、肺、乳房、食道、膵臓、子宮頸部、子宮体部、前立腺、膀胱、喉頭、胆嚢、腎、腎盂尿管)、性別、年齢階級別、病期別(がんの進行状況)等

公表対象

各集計対象の合計が原則30例以上

生存率とは

<実測生存率>
実際に診療した患者の生存割合で、死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた生存率。がん診療連携拠点病院等で初回治療を受けた患者を対象としており、疾患の経過についての一つの見通しとなる。

ただし、あくまでも平均的な数字であって、個々の例に必ずしも当てはまるとは言えない。

<相対生存率>
がん以外の死因による死亡などの影響を取り除くために、患者集団の実測生存率を、患者集団と同じ性・年齢構成の一般集団における期待生存率で割ることによって算出する生存率を指す。

がん対策の評価において、主に全国がん登録を用いて、がんの影響を見たいときに用いられる。

本集計ではがん対策情報センターが作成している日本における一般集団の生存確率を用いて計算している。そのため、同じ性、年齢であっても患者の背景事情(身体機能、基礎疾患の有無等)が異なる集団において算出された相対生存率は、がん以外の競合する死因の影響を完全には取り除けていない可能性がある。

集計のポイント

■がん診療連携拠点病院等のデータでは、3回目となる3年生存率を集計
■がん診療連携拠点病院等373,522例、330施設について集計を実施
■特別集計として、胃がん、大腸がん、肝がん、肺非小細胞がん、女性乳がんについて年齢・病期別に生存率を集計

集計結果のポイント

<全がんの3年生存率>
実測生存率は67.5%(前回67.2%、相対生存率は72.4%(前回72.1%)であった。前回と比較し、がん診療連携拠点病院等だけでなく都道府県推薦病院が加わり、対象施設・数が増加している。

<特別集計:年齢・病期別の生存率>
がんによってもやや異なるが、同じ病期であっても若年の患者の生存率は高く、高齢の患者は低い傾向がみられた。

特に70、80歳以上では、3年実測生存率をみると低い傾向。生存率をみるときには、年齢を含め患者の個別性を考慮する必要がある。

図1.女性乳がんの年齢・病期別生存率

図2.部位・病期別3年生存率



*I~IV期の病期別集計ではがん腫を対象としている。

図2は全体集計の結果を示している。がんによっては、同じ病期であっても治療の難しさなどに違いがあるため、生存率は異なっているのが現状である。

2010-11年がん診療連携拠点病院等院内がん登録5年生存率集計

概要

がん診療連携拠点病院等における5年生存率は、2007年診断例より集計を開始し、主要5部位(胃、大腸、肝臓、肺、乳房)と食道、膵臓、子宮頸部、子宮体部、前立腺、膀胱について、全体、都道府県別、施設別集計を公表してきた。

今回5度目の報告となる2010-11年5年生存率集計報告書では、上記部位に加え、喉頭、胆嚢、腎、腎盂尿管について全体、都道府県別に集計を行なった。また、2009-2010年生存率集計報告書と同様に、施設別集計において、主要5部位(胃、大腸、肝臓、肺、乳房)・病期別に集計を行なった。

都道府県別・施設別生存率は患者の年齢、手術の有無、併存疾患の有無やその程度など、様々な背景事情の影響を受け、大きく変動するため、都道府県および施設のコメントと性別、年齢別、病期別、手術の有無、組織型(肺がんの場合)別の登録数をあわせて提示した。

集計の意義

2015年12月公布の「院内がん登録の実施に係る指針」に示されているとおり、院内がん登録情報は医療機関の実態把握等への活用が期待されている。

本集計の目的は、医療施設が治療結果を振り返ることで、診療実態を把握し、診療について継続的に検討するためのデータを提供することにある。さらに、国民へ情報を公開することをとおして、がん医療の透明性を確保し、生存率集計値を読む上での留意点、特に比較することの難しさを知ってもらうことにある。

生存率は、対象数が少ない場合は結果に偏りが生じるため、ある程度長い対象期間をとり、大きな集団で数値の解釈を考えていく必要がある。本集計では、集計対象数を確保するため2010年診断例と2011年診断例を合算して集計した。

しかし、集計対象は生存状況把握割合90%以上の施設となるため、都道府県別集計においては対象施設が1施設あるいは数施設の場合もみられた。

さらに生存率は、年齢、手術の有無、併存疾患の有無とその程度等にも大きく影響を受けるが、本集計においてはこれらを考慮できていない。そのため、本集計は各施設の医療の質を見直すきっかけとして活用するものであり、都道府県・施設の治療成績を示すものではないことに留意したい。

集計方法

2018年4月時点のがん診療連携拠点病院等433施設、都道府県推薦病院256施設で初回治療を開始したがん診断例を調査対象とし、そのうちデータが提供された406施設(がん診療連携拠点病院等362施設、都道府県推薦病院44施設)の中で、2011年診断例の全がんにおける生存状況把握割合が90%以上であった318施設(がん診療連携拠点病院等297施設、都道府県推薦病院21施設)を集計対象とした。

集計対象施設のうち、2010年診断例についても全がんにおける生存状況把握割合が90%以上であった場合は、2カ年分を合算して集計した。

対象数が30例以上の場合に公表(一般に対象数が30例未満の場合、推定された生存率の信頼性が低くなるため本集計では非公表)

集計項目

<全体集計>
部位(胃、大腸、肝臓、肺、乳房、食道、膵臓、子宮頸部、子宮体部、前立腺、膀胱、喉頭、胆嚢、腎、腎盂尿管、性別、年齢階級別、病期別(がんの進行状況)等

<都道府県・施設集計>
部位別(都道府県別集計は上記同様、施設別集計は胃、大腸、肝臓、肺、乳房の主要5部位のみ)、病期別(がんの進行状況)

生存率公表基準

<全体>
・全がんの生存状況把握割合が90%以上の施設
・集計対象が原則30例以上

<都道府県>
・各都道府県からの意見とともに公表
・都道府県内で該当施設が1施設の場合は、都道府県値として公表しない

<施設>
・施設が公表可と判断した施設のみ生存率を公表
・施設から自施設の生存率についての意見とともに公表
 *非公表の場合も、施設が非公表の理由掲載を希望した場合は意見を提示

集計のポイント

■集計対象数の増加
2010年、2011年の2カ年分を合算し、約65万例(前回約57万例)のデータを用いて集計した。

■実測生存率の提示
相対生存率だけでなく、実測生存率を提示することで疾患の経過に関する一つの見通しを提示。ただし、がん診療連携拠点病院等における初回治療開始例を対象としていること、またあくまでも全体の平均的な値であり、個々の状況に必ずしも当てはまるわけではない。

実測生存率と相対生存率を比較すると、特に70歳、80歳代以上では生存率に乖離が認められる。その要因については、今後検討していく必要があるが、がん以外の要因が大きく影響している可能性が考えられる。

■集計対象部位の追加
院内がん登録5年生存率集計として、喉頭、胆嚢、腎、腎盂尿管を新たに追加集計した。

■特別集計
胃がん、大腸がん、肝がん、肺非小細胞がん、女性乳がんについて、年齢・病期別の生存率を集計した。

集計結果のポイント

<全体集計>
全がんの5年生存率
施設全体での全がんの5年実測生存率は58.8%(前回58.6%、相対生存率は66.4%(前回66.1%であった。性別の割合は男性が58.2%、女性が41.8%でやや男性が高い割合。診断時の年齢は、70歳代が最も多く、70歳代、80歳代以上を合わせると約48%の割合だった。

5年相対生存率は、地域がん登録、全がん協でも集計が公表されており、それらを見比べると、院内がん登録の生存率に対し、地域がん登録の集計値(2006-2008年診断例)は若干低く、全国がんセンター協議会(全がん協)の集計値(20082010年)は若干高い傾向がみられた。

これは、施設により対象患者の背景事情(年齢、手術の有無、併存疾患の有無やその程度等)が異なることが影響しているためと考えられる。これに加え、全がん協では15歳から94歳までを集計対象としていることなどの集計方法による差がある。

対象者による差があるものの、全体として生存率に大きな差はない。

喉頭、胆嚢、腎、腎盂尿管について院内がん登録5年生存率集計では初めて集計
男性が約93%を占めた喉頭がんの相対生存率は、I期が約95%、II期が約90%、III期が約72%、IV期が約48%であった。部位によって、治療の難しさなどから生存率には違いがある。

図3.女性乳がんの年齢・病期別5年生存率

女性乳房は、I期、II期が多く、また他の部位と比較して、比較的若い世代の割合が多くなっている。他の部位においても、今後10年生存率を算出していく予定だが、特に乳がんは若い世代が多いことを考え、より長期的な視野でみていくことが重要と考えられる。

部位・病期別の5年生存率(図4)

前立腺は、相対生存率がほぼ100%となっている。病期別にみても、I期、II期、III期ともに相対生存率は100%を超えている。この結果をみると、前立腺がんの患者と日本人全体を比較したとき、5年後に生存している割合はほとんど変わりがないと考えられる。

参照元:
国立研究開発法人国立がん研究センタープレスリリース

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