アッヴィ、再発・難治性の慢性リンパ性白血病および小リンパ球性リンパ腫の治療薬ベネクレクスタ錠を新発売


  • [公開日]2019.11.25
  • [最終更新日]2019.11.25
この記事の3つのポイント
・ベネクレクスタは、アポトーシスの過程を回復させるためにBCL-2を標的とする経口薬
再発・難治性のCLLおよびSLL患者に対する、従来の殺細胞性の化学療法を含まない新たな治療選択肢
・MURANO第3相試験の結果において、24カ月の固定投与期間で優れた無増悪生存期間を示し、奏効率の高さとともに微小残存病変MRD)陰性を達成

2019年11月22日、アッヴィ合同会社(以下、アッヴィ)は、再発・難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療薬として、経口BCL-2阻害薬ベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ錠、以下、ベネクレクスタ)を本日発売することを発表した。

ベネクレクスタはBCL-2と呼ばれる体内の特定タンパク質を標的とする経口BCL-2阻害剤で、がん細胞で失われたアポトーシスというがん細胞の自然死または自己破壊の過程を回復させる作用がある1

ベネクレクスタは再発・難治性のCLLおよびSLL患者に対する、従来の殺細胞性の化学療法を含まない、新たな治療選択肢となる1。

CLLは一般的に緩徐な経過を示し、予後不良因子を有するCLL患者を除き、標準治療により初回奏効が高い割合で認められるが、その後の再発は避けられない2

後続の治療により奏効が導かれることもあるが、奏効率は順次低下し、奏効期間も短くなる。17番染色体の短腕欠失(17p欠失)またはがん抑制遺伝子TP53に変異を持つCLL患者は予後不良であることが知られている3,4

アッヴィはベネクレクスタを国内において初めて、再発・難治性のCLLおよびSLL治療薬として2018年11月に製造販売承認申請し、本剤は2019年9月に承認された。この承認は、国内第1・2相試験5および、21カ国、389人の再発・難治性CLL患者を対象としたMURANO第3相臨床試験データに基づいている。

MURANO試験は多施設無作為化非盲検国際共同試験で、再発・難治性CLL患者において、ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用投与群と、標準治療のひとつである化学免疫療法ベンダムスチン塩酸塩とリツキシマブ(遺伝子組換え)併用群を比較している6

主要評価項目である無増悪生存期間において、24カ月の固定投与期間終了後のベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用投与群のベンダムスチン塩酸塩とリツキシマブ(遺伝子組換え)併用群に対する優越性が検証され、層別ハザード比:0.17(95%Cl:0.11-0.25)との結果となった6

有効性副次評価項目では、ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組み換え)併用投与群において全奏効率92.3%を達成し、末梢血MRD陰性率62.4%を達成した6

MRD陰性(uMRD:undetectable)とは、治療終了後に血液または骨髄中に残るCLL細胞が白血球10,000個中1個未満と定義される客観的な指標7

ベネクレクスタはファーストインクラスの経口BCL-2阻害薬で、アッヴィとロシュ社が開発を行っている。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売している。

ベネクレクスタ製品概要

出典
1.[Venclexta (venetoclax) [Package Insert]. North Chicago, Ill.: AbbVie Inc.]
2.jaglowski S, Jones JA. Choosing firs-line therapy for chronic lymphocytic leukemia. Expert Rev Anticancer Ther. 2011 Sep; 11(9): 1379-90
3.Stilgenbauer S and Zenz T. Understanding and managing ultrahigh-risk chronic lymphocytic leukemia. Hematology Am Soc Hemat Educ Program 2010; 481-8.
4.Zenz T, Benner A, Doehner H, et al. Chronic lymphocytic leukemia and treatment resistance in cancer: the role of the p53 pathway. Cell Cycle 2008; 7(24):3810-4
5.www.clinicaltrial.gov (NCT02265731)
6.Seymour JF, Kipps TJ, Eichhorst B, et al. Venetoclax-rituximab in relapsed or refractory chronic lymphocytic leukemia. N Engl J Med. 2018;378(12):1107-1120.
7.Hallek M, et al. Guidelines for diagnosis, indications for treatment, response assessment and supportive management of chronic lymphocytic leukemia. Blood. 2018;131(25):2745-2760.

参照元:
アッヴィ合同会社プレスリリース

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