プロテアソーム阻害剤カイプロリス、日本において再発又は難治性の多発性骨髄腫に対する用法及び用量の追加承認取得


  • [公開日]2019.11.25
  • [最終更新日]2019.11.25

2019年11月22日、小野薬品工業株式会社(以下、小野薬品)は、プロテアソーム阻害剤カルフィルゾミブ(商品名:カイプロリス(R)、点滴静注用10mg、40mg」(以下、カイプロリス)について、再発又は難治性多発性骨髄腫に対する用法及び用量の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを発表した。

今回の追加承認は、再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象に、週1回投与のカイプロリス20/70mg/m2およびデキサメタゾンの併用療法と週2回投与のカイプロリス20/27mg/m2およびデキサメタゾンの併用療法の有効性安全性を比較した国際共同多施設無作為化非盲検第3相試験(ONO-7057-06/A.R.R.O.W.)の結果に基づくものである。

本試験の主要評価項目無増悪生存期間PFS)であり、PFSの中間解析の結果、PFSの中央値は、週2回投与群の7.6カ月に対し、週1回投与群は11.2カ月と、統計学的に有意にPFSを延長した(ハザード比=0.69;95%信頼区間:0.54-0.88)。

両投与群で治療中に頻繁に(20%以上)発生した有害事象は、貧血、下痢、疲労、高血圧、不眠症、発熱であった。

今回の追加承認により、デキサメタゾンとの2剤併用療法において、1サイクル目の1日目のみ20mg/m2、それ以降は70mg/m2を週1回点滴静注する用法及び用量が追加された。

既に承認されているカイプロリスの投与方法は、いずれも週2回投与が必要であったが、今回の追加承認により、利便性に優れた週1回投与が可能となる。

多発性骨髄腫は骨髄中にある形質細胞の異常により引き起こされる血液がんで、日本国内における総患者数は約25,000人と報告されている。現在、多発性骨髄腫に対する治療法は複数存在するが、寛解と再発を繰り返し進行する、もしくはどの治療法も有効でなくなる難治性の病状に移行する場合も少なくない。

また、長期的な治療では副作用や合併症が報告されており、治療に難渋する場合がある。これらのことから、多発性骨髄腫に対する新たな治療薬の開発が期待されている。

平成29年人口動態統計・患者調査(厚生労働省大臣官房統計情報部)

カイプロリスについて
カイプロリスは、高い選択性を有するプロテアソーム阻害剤。プロテアソームは細胞内に存在する酵素複合体で、ポリユビキチン化されたタンパクを分解する作用を有しており、細胞の増殖、分化および機能的細胞死を制御している。

カイプロリスはプロテアソームを阻害することにより、骨髄腫細胞の機能的細胞死を誘導する。

2010年9月、小野薬品は米国Onyx Pharmaceuticals Inc(現Amgen社の子会社)とライセンス契約を締結し、日本で全がん腫を対象に独占的に開発・商業化する権利を取得した。

日本において、2016年7月に再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬としてカイプロリス、レナリドミドおよびデキサメタゾンの3剤併用療法で製造販売承認を取得し、2016年8月に発売。その後、2017年5月にカイプロリスおよびデキサメタゾンの2剤併用療法でカイプロリスを1サイクル目の1日目および2日目のみ20mg/m2、それ以降は56mg/m2を点滴静注する用法及び用量にて製造販売承認事項一部変更承認を取得している。

「カイプロリス点滴静注用10mg、40mg」製品概要

参照元:
小野薬品工業株式会社ニュースリリース

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