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自分らしい治療を選択するために…医療者と一緒に治療を選ぶコツとは


  • [公開日]2019.07.04
  • [最終更新日]2019.07.04

 5月11日、横浜市西区のはまぎんホールで市民公開講座「がんと共に生きる時代の治療選択のヒント ~放射線治療を中心に~」(主催:市民公開講座実行委員会、共催:神奈川新聞社バリアンメディカルシステムズ日本電子応用三石耐火煉瓦)が開催。慶應義塾大学看護医療学部の大坂和可子准教授、NPO法人肺がん患者の会 ワンステップ代表の長谷川一男氏、大船中央病院放射線治療センター長の武田篤也氏らが講演を行った。

「自分らしい治療」はどうすれば選択できる?

 大坂氏はまず、がん治療の現場の多くで近年、保険医療情報(エビデンス)の確立を背景に、医療従事者と患者さん・家族が一緒に健康に関わる意思決定に参加するケースが増えてきていることを報告。患者・家族と医療者がエビデンスに加えて、治療の選択肢、メリットとデメリット、患者さんの価値観や希望・状況を共有し、治療選択を行うプロセスである「シェアード・ディシジョン・メイキング(SDM)」を紹介した。

 その上で大坂氏は、情報収集のコツとして医師に以下の3つの質問をすることを呼び掛けた。

・選択肢には何がありますか?
・それぞれの選択肢のメリットとデメリットは何ですか?
・選択をする上で、活用できるサポートはありますか?

 「主治医とよく相談するのはもちろんですが、看護師などの医師以外の医療者や、病院のがん相談支援センター、患者会や患者支援団体などにも相談するのも、違った角度からの助言やサポートが得られます。さらに、セカンドオピニオンの活用や、化学療法や放射線治療ができるがんでは、腫瘍内科医や放射線治療専門医への相談も選択肢として考えるのが良いでしょう」(大坂氏)

 また、近年、インターネットで病気や治療の情報を収集するケースが増えているとして、インターネットでの情報の信頼性を確認法するキーワード「い・な・か・も・ち」を紹介した。

い…いつ?
な…なんのために?
か…書いた人は誰?
も…元ネタは何?
ち…違う情報と比べた?

 ほか、大坂氏は意思決定支援のツール「オタワ個人意思決定ガイド」を紹介。患者中心の最善のがん医療のためには患者の参加が大切だ、と語った。


(慶應義塾大学看護医療学部の大坂和可子准教授)

がん情報の伝え方 患者が気を付けるべきこととは

 「治療にかんする情報は極力知りたい」と語る長谷川氏は、冒頭であるがん患者さんとの対話をVTRで紹介。その患者さんは「とにかく怖いので何も考えないようにしている」と語り、患者の中でも情報に対する考え方はそれぞれある、と述べた。

 続いて、長谷川氏はがん情報についての患者と医療者のコミュニケーションについて聞いた患者アンケートの内容を紹介。患者が気を付けるべきところとして、以下の5点を挙げた。

■コミュニケーションが下手
…だらだらと話す、治療に関係のない事を話す、時間を気にしない

■正しい情報を理解・評価できない
…適切に質問、相談できない、自分の考えを前面に出す

■情報収集・代替療法
…禁止されていることを守らず内緒でする、ネット情報を鵜呑みにする

■不安の対処が出来ない
…悪くなると悲観的になり主治医に不満を感じる、ただ悲嘆するだけ

■マナーに関して
…病院や先生の批判、ため口、馴れ馴れしい

そして、患者が工夫している良いところとして以下の4点を挙げた。

■コミュニケーションの方法
…メモに質問を書いて聞く、質問は短く簡潔に など

■信頼
…信頼していることを伝える、感謝の気持ちを伝える

■医師への気遣い
…きちんと挨拶する、パソコン入力時は話しかけず待つ など

■患者力
…自分でも勉強、積極的に質問できるようにする

 長谷川氏は「同じ言葉でも医師と患者ですれ違いが起こることがある」と指摘。例として、医師が発する「こんなに効くとは思わなかった」という言葉を挙げた。

 「医療者は治療の効果を喜んで発してるのに、患者の中には“私が悪くなる前提で治療しているの?”と感じる人もいます。“あれこれ言う患者は嫌いだろうから”という思い込みや、医師の意図を取り違えるなどすれ違いもあります。でもそれは医療だけでなく、家族や会社などでも同じようなことはよくあります。上手く医師とコミュニケーションし、治療選択に役立ててほしいですね」(長谷川氏)


(NPO法人肺がん患者の会 ワンステップ代表 長谷川一男氏)

恐れず遠慮せずコミュニケーションを

 パネルディスカッションで、大船中央病院 放射線治療センターの武田篤也氏は、治療に前向きに取り組むための大原則として「信頼できる医師と出会うこと」「医師を怖いと思わないこと(学校の先生に気軽に相談できるように)」「近くに冷静に相談できるサポーターにいてもらうこと」を挙げた。

 大坂氏は最後に「いざ、がんとなったときに、納得のいく治療を受けるためには、患者さんも診断される前から医療との向き合い方について、1人ひとりが考えていくことが求められるとともに、医療者側も様々な取り組みが必要であり、社会全体の課題といえます」と締めくくり、自分らしく生きるための治療選択ができる環境整備の必要性を訴えた。

(取材・文/田中智貴)

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