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進行軟部肉腫患者に対するOlaratumab+ドキソルビシン併用療法、全生存期間を統計学的有意に改善しない米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)より


  • [公開日]2019.06.21
  • [最終更新日]2019.06.20
この記事の3つのポイント
・進行軟部肉腫患者が対象の第3相試験
・Olaratumab+ドキソルビシン併用療法の有効性安全性を比較検証
ドセタキセル単剤療法に対する全生存期間の優越性を示せず

2019年5月31日から6月4日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)にて、進行軟部肉腫(STS)患者に対するPDGFRαを標的とするヒトIgG1抗体薬であるOlaratumab+ドキソルビシン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のANNOUNCE試験(NCT02451943)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのWilliam D. Tap氏らにより公表された。

ANNOUNCE試験とは、切除不能局所進行または遠隔転移を有する進行軟部肉腫(STS)患者に対して21日を1サイクルとして1日目にOlaratumab 15mg/kg(1サイクル目は20mg/kg)+1日目にドキソルビシン75mg/m2併用療法を投与する群、または21日を1サイクルとしてプラセボ+ドキソルビシン75mg/m2併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてITT解析集団における全生存期間(OS)、平滑筋肉腫(LMS)集団における全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、客観的奏効率ORR)、安全性などを比較検証したランダム化二重盲検プラセボ対照の第3相試験である。

本試験が実施された背景として、進行軟部肉腫(STS)に対する標準治療はドセタキセルであるが、第2相試験にてOlaratumab+ドセタキセル併用療法は、ドセタキセル単剤療法に比べて無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を改善することが示されている。以上の背景より本試験が実施された。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。

ECOG Performance Status
Olaratumab群=スコア0 59.3%、スコア1 40.7%
プラセボ群=スコア0 59.8%、スコア1 40.2%

進行病期
Olaratumab群=転移性 83.7%、局所進行性 16.3%
プラセボ群=転移性 82.1%、局所進行性 17.9%

組織学的分類
Olaratumab群=平滑筋肉腫 46.1%、脂肪肉腫 18.6%、多形性肉腫 13.2%、その他 22.1%
プラセボ群=平滑筋肉腫 45.8%、脂肪肉腫 17.1%、多形性肉腫 12.0%、その他 25.1%

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目であるITT解析集団における全生存期間(OS)中央値はOlaratumab群20.4ヶ月に対してプラセボ群19.7ヶ月、Olaratumab群で死亡(OS)のリスクを5%増加(HR:1.05,95%信頼区間:0.84-1.30)。

また、平滑筋肉腫(LMS)集団における全生存期間(OS)はOlaratumab群21.6ヶ月に対してプラセボ群21.9ヶ月、Olaratumab群で死亡(OS)のリスクを5%減少(HR:0.95,95%信頼区間:0.69-1.31)。以上のようにOlaratumab群で全生存期間(OS)の延長は確認されなかった。

副次評価項目であるITT解析集団における無増悪生存期間(PFS)中央値はOlaratumab群5.4ヶ月に対してプラセボ群6.8ヶ月、Olaratumab群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを23%増加(HR:1.23,95%信頼区間:1.01-1.50)。

また、平滑筋肉腫(LMS)集団における無増悪生存期間(PFS)中央値はOlaratumab群4.3ヶ月に対してプラセボ群6.9ヶ月、Olaratumab群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを22%増加(HR:1.22,95%信頼区間:0.92-1.63)。以上のようにOlaratumab群で無増悪生存期間(PFS)の延長は確認されず、むしろ短縮する傾向が確認された。

一方の安全性として、グレード1以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はOlaratumab群98.1%に対してプラセボ群99.2%、重篤な有害事象(SAE)発症率はOlaratumab群38.9%に対してプラセボ群34.9%、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率はOlaratumab群4.3%に対してプラセボ群4.4%。なお、毒性に関しては両群間で大きな違いは確認されなかった。

以上のANNOUNCE試験の結果よりWilliam D. Tap氏らは以下のように結論を述べている。”進行軟部肉腫(STS)患者に対するPDGFRαを標的とするヒトIgG1抗体薬Olaratumab+ドキソルビシン併用療法は、ドセタキセル単剤療法に対する全生存期間(OS)の優越性を示すことができませんでした。”

ANNOUNCE: A randomized, placebo (PBO)-controlled, double-blind, phase (Ph) III trial of doxorubicin (dox) + olaratumab versus dox + PBO in patients (pts) with advanced soft tissue sarcomas (STS).(2019 ASCO Annual Meeting, Abstract No:LBA3)

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この記事に利益相反はありません。