この記事の3つのポイント
慢性骨髄性白血病CML)を対象とした多施設共同、前向きの非無作為化試験
・深い分子遺伝学的奏効を得た症例でチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の治療を中止し、患者の予後を検討
・分子遺伝学的無再発生存率は6か月時点で61%、24ヶ月で50%であった

2018年6月1日『THE LANCET Oncology』にて、慢性骨髄性白血病(CML)患者におけるチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の中止に関して検証したEURO-SKI試験の中間解析がHeidelberg University・Susanne Sausseleらから発表された。

チロシンキナーゼ阻害薬は慢性骨髄性白血病患者の生存を改善してきた。多くの患者は治療の中止条件である深い分子遺伝学的奏効を獲得している。今回の研究は治療を中止するための因子を、明確に定義することを目的とした。

本試験は前向きの非無作為化試験であり、11カ国61の欧州センターで治療を受けている慢性期の慢性骨髄性白血病の患者で、少なくとも3年間何らかのチロシンキナーゼ阻害薬で治療を受けていて(European Leukemia Net [ELN] で提唱されているFailure(不応)の症例は含まれていない)、1年以上深い分子遺伝学的奏効(MR)を維持している患者が対象となっている。

主要評価項目は分子遺伝学的大奏効(MMR)の喪失(国際スケールでBCR-ABL1遺伝子>0.1%)を再発と定義した分子遺伝学的無再発生存率であり、1度でも分子遺伝学的奏効を得た患者を評価した。
副次評価項目は、6ヶ月時点のMMRの維持に影響を及ぼす要因の予後解析、チロシンキナーゼ阻害薬治療を中止することによるコストの影響であった。

また本試験では、血液学的奏功の喪失、慢性骨髄性白血病の移行期への進展、急性転化を重篤な有害事象と設定した。

本試験は、200人の患者の6ヶ月時点での分子遺伝学的無再発生存率が判明した後に行われた中間解析の結果を提示しているが、試験は進行中である。

分子遺伝学的効果について評価可能患者は755例おり、追跡調査の中央値は27ヵ月であった(IQR 21-34)。これらの患者の分子遺伝学的無再発生存率は6か月時点で61%(95%CI 57-64)、24ヶ月で50%(46〜54)であった。

755例のうち、371例(49%)の症例でチロシンキナーゼ阻害薬中止後にMMRが失われ、4例(1%)はMMRを維持しつつCMLとは関連の無い事象(心筋梗塞、肺がん、腎がん、心不全)で死亡し、13例(2%)はMMRを維持しつつチロシンキナーゼ阻害薬治療を再開した。

6例(1%)の症例はMMRを喪失し、チロシンキナーゼ阻害薬再開後に慢性骨髄性白血病と関係のない理由で死亡した。2例(<1%)はチロシンキナーゼ阻害薬を再開したにもかかわらずMMRを喪失した。 初期治療でイマチニブ(グリベック)を行った405例の予後解析では、より長い治療期間(オッズ比(OR)/年1,14, p = 0.0010)、より長い深い分子遺伝学的奏効の維持期間(1.13, p = 0.0032)が6ヵ月でのMMRの維持率の上昇と関連していた。 またTKI治療の中止は、大幅なコスト削減(推定2200万ユーロ)に関連していた。重篤な有害事象は報告されていない。 本試験の結果、以下のように考察されている。深いMRを達成した慢性骨髄性白血病患者は、良好な分子遺伝学的無再発生存率を有する。特に長期間に渡り深い分子遺伝学的効果を維持した患者ではチロシンキナーゼ阻害薬の中断を考慮すべきである。治療を止めることは患者を治療により発現する副作用から救うことができ、医療支出を減らすことも可能となる。

Discontinuation of tyrosine kinase inhibitor therapy in chronic myeloid leukaemia (EURO-SKI): a prespecified interim analysis of a prospective, multicentre, non-randomised, trial

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