アメリカでは年間約540万件のメラノーマ(悪性黒色腫)以外の皮膚がんが見つかり、そのうち330万人が治療を受けた(2012年調べ)。70歳までのアメリカ人のうち、5人に1人が皮膚がんにかかるといわれる(Skin Cancer Foundation調査 :http://www.skincancer.org/skin-cancer-information/skin-cancer-facts)。

こうしたアメリカでの皮膚がんの治療費は年間81億ドルで、そのうちメラノーマ以外の皮膚がんに約48億ドル、メラノーマで33億ドルかかると推定されている。変わったしみやホクロがひょっとしてがんかしらと、患者が疑ったとしても、近くに皮膚科医がいない。

仕事が忙しく、医者を訪れるための休みが取れない。あるいは治療費がない、症状を軽く考えるなど、皮膚がんの治療は先送りされる傾向がある。
メラノーマの 場合、早期発見による5年生存率は約97%だが、ステージが進んだ段階で治療を受けた場合の5年生存率は、なんと約14%に低下する。早期発見は、皮膚がんから身を守る大事な鍵だ。

以上のような現状を慮って、スタンフォード大のリサーチャーやコンピューター科学者、医師たちは、AI(人工知能)の深層学習(ディープラーニング)を使って、皮膚がんに関するデータから関係性を見つけ、理解を深め、決定づけさせた。つまり、コンピューターに答えをプログラムするのではなく、問題を把握するように学習させ、訓練(トレイン)し、簡易に診断出来るアルゴリズムを出したのだ。

スタンフォード大のチームは、約13万の皮膚疾患画像のデータベースを作成し、潜在的ながんを視覚的に診断するシステムを作り出した。
これはスタンフォード人工知能研究所(Stanford Artificial Intelligence Laboratory:http://ai.stanford.edu/#faculty)のリサーチャーと、スタンフォード医学部皮膚科や病理学の教授たちが昨年行ったものである。

インターネットから画像を集め、複数の言語で表示されているラベルを翻訳し、角度、ズーム、照明などがそれぞれ違い混乱しやすいデータを整えてから、優れた分類方法を作成。現在は更に進んで、手持ちのスマートフォンから皮膚がんかどうか、診断できるシステムを構築するプロジェクトを進めている。

こうした中、人工知能と皮膚科医のどちらが、早く正確に皮膚がんを検出できるかという勝負はAIが勝ったとする論文も今年5月にイギリスで出た。医学雑誌「腫瘍学年報(Annals of Oncology)」によれば、58人の皮膚科医と深層学習によるAIで皮膚のデキモノが良性かメラノーマかを識別する画像テストが行われた。

皮膚科医の大半が約5年以上の経験を持っており、アメリカ、ドイツ、フランスのリサーチャーチームは、AIの畳み込みニューラルネットワークというシステムを使った。10万枚以上の画像を複数のカテゴリに分類し、学習するようトレインされた。AIの診断が正しかったのは95%、皮膚科医の正答率は86.6%だった。AIの深層学習が、がんを含む多くの医療分野で、視覚的な診断に貢献していくことがこれから多いに期待されている。

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