MET陽性進行性胃がんまたは胃食道接合部がん患者に対するMet抗体薬であるRilotumumabの化学療法上乗せ効果はなし


  • [公開日]2017.10.16
  • [最終更新日]2017.11.02

2017年9月25日、医学誌『The Lancet Oncology』にて進行性胃がんに対する一次治療としてのMETシグナル伝達経路を阻害する完全ヒト型モノクローナル抗体薬Rilotumumabの化学療法に対する上乗せ効果を検証した第III相のRILOMET-1試験(NCT01697072)の結果が公開された。

RILOMET-1試験とはMET陽性の進行性胃がん/胃食道接合部がん患者(N=609人)に対して化学療法(エピルビシン+シスプラチン+カペシタビン)+ Rilotumumab併用療法(N=304人)、または化学療法(エピルビシン+シスプラチン+カペシタビン)+プラセボ療法(N=305人)を無作為に振り分け、主要評価項目であるITT解析対象における全生存期間(OS)を比較検証した国際多施設共同オープラベルの第III相試験である。

本試験の結果、主要評価項目であるITT解析対象における全生存期間(OS)中央値はRilotumumab併用療法群8.8ヶ月、プラセボ併用療法群10.7ヶ月(ハザード比1.33,p=.003)であった。本解析はフォローアップ期間中央値がそれぞれ7.7ヶ月、9.4ヶ月時点の結果であり、Rilotumumab併用療法群で早期死亡率が独立モニタリング機関より確認されたことから試験は早期中止となった。

一方の安全性はというと、グレード3以上の治療関連性有害事象としては好中球減少症(Rilotumumab併用療法群29%対32%)、貧血(12%対14%)、疲労(10%対12%)が確認された。また、重大な副作用としてはRilotumumab併用療法群48%、プラセボ併用療法群50%、治療関連性の死亡率はそれぞれ14%、10%の患者で発症した。

以上のRILOMET-1試験における有効性、安全性の結果を受けて治験医師らは下記のようなコメントを出している。”MET陽性の進行性胃がん/胃食道接合部がん患者に対するMETシグナル伝達経路を阻害するRilotumumabの投与は効果的でない”

なお、本論文が公表される3年前の2014年11月24日と25日、Rilotumumabを共同で開発するアムジェン社、アステラス製薬株式会社それぞれ開発試験の中止を自社のプレスリリースで公表している。

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