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多発性骨髄腫 7/3 HDAC阻害薬「ファリーダック」承認取得

[公開日] 2015.07.06[最終更新日] 2015.07.06

7/3、ノバルティス ファーマ株式会社は、再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬としてパノビノスタット(商品名ファリーダック)の製造販売承認を取得したと発表しました。ファリーダックは、米国においては、2015年2月に多発性骨髄腫に対する承認を取得しており、本邦においては、2014年9月に「再発又は難治性の多発性骨髄腫」に対し希少疾病用医薬品指定を受けています。 【ファリーダックとは】 多発性骨髄腫治療薬としては初めてのヒストン脱アセチル化酵素(HDAC;えいちだっく)阻害剤です。ヒストンとはDNAを巻き取っているタンパク質です。HDACが作用することにより、がん細胞の自殺(アポトーシス)・細胞分裂・がんを抑制する遺伝子の活性化などの作用があります。特に、多発性骨髄腫細胞ではHDAC活性の異常な上昇が認められており、その活性化ががんを促進すると報告されています。 また、プロテアソーム阻害という異なる作用機序をもつ既存治療薬のボルテゾミブ(商品名ベルケイド)と併用することで、骨髄腫細胞の増殖阻害及び腫瘍細胞のアポトーシスの強い相乗効果が期待できます。 【第3相臨床試験結果】 再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さん(ボルテゾミブ抵抗性を除く)768人を対象に、『ファリーダックとベルケイドとデキサメタゾンの3剤を併用(「ファリーダック」群)』と『プラセボ(偽薬)・ベルゲイド・デキサメタゾンの併用(プラセボ群)』の有効性と安全性を比較した国際共同第3相臨床試験の血管は以下の通りです。 がんの進行を抑えた期間の中央値:ファリーダック群12.0カ月 vs プラセボ群が8.1カ月。統計学的にも証明(P<0.0001) 完全奏効および完全奏効に近い奏効の割合:ファリーダック群27.6% vs プラセボ群15.7%。統計学的にも証明(p=0.00006) 副作用:ファリーダック群90.6%に認められ、主な副作用は血小板減少症、下痢、疲労、貧血、好中球減少症等 ファリーダックには、「医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること」および「国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること」が承認条件として付与されています。 【多発性骨髄腫】 治癒が困難な難治性の造血器腫瘍で、白血球のひとつである形質細胞ががん化した病気です。正常な形質細胞は、抗体を作り身体を異物から守って感染を抑えていますが、がん化した形質細胞(骨髄腫細胞)は、健康な血液の産生を妨げたり、骨をもろくしたりするなどのさまざまな障害を引き起こします。よく見られる症状としては、貧血、腎障害、骨痛および骨折、血液中のカルシウム値上昇などがあります。 日本における多発性骨髄腫の推定総患者数は約14,000人、また人口10万人あたりの推計年齢調整罹患率は約2人、年間死亡数は4,066人と報告されています。近年、本疾患の総患者数、推計罹患数および死亡者数は、徐々に増加する傾向がみられています。 多発性骨髄腫の治療には、移植や薬物療法による治療が行われますが、ほとんどの患者さんで再発又は病勢進行がみられ、治療を繰り返すごとに薬剤への反応性が低下し、難治性の病態に移行していきます。そのため、こうした患者さんの治療効果の向上や、既存治療への耐性を克服するための新たな作用機序を持つ新規薬剤の開発が待ち望まれています。 ノバルティスファーマのプレスリリース 記事:可知 健太
ニュース 多発性骨髄腫 多発性骨髄腫

3Hメディソリューション株式会社 執行役員 可知 健太

オンコロジー領域の臨床開発に携わった後、2015年にがん情報サイト「オンコロ」を立ち上げ、2018年に希少疾患情報サイト「レアズ」を立ち上げる。一方で、治験のプロジェクトマネジメント業務、臨床試験支援システム、医療機器プログラム開発、リアルワールドデータネットワーク網の構築等のコンサルテーションに従事。理学修士。

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