12月21日、国立がん研究センター東病院と一般社団法人CirKit-Jは、術後微小残存病変が判明した大腸がん患者を対象とした日本主導による世界初の国際共同第3相医師主導治験「ALTAIR試験」を開始したと発表した。
ALTAIR試験は、外科治療が行われる大腸がん患者を対象に、リキッドバイオプシーによるがん個別化医療の実現を目指すプロジェクト「CIRCULATE-Japan(サーキュレートジャパン)」の傘下で行われる3つ目の臨床試験。消化器がんの医師主導治験としては、過去に類を見ない国内外37施設(うち海外1施設)で実施するという。
同試験ではCIRCULATE-Japanにおけるリキッドバイオプシーによるモニタリング検査で「血中循環腫瘍DNA(ctDNA)陽性」と判定された患者を対象に、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩(FTD/TPI、製品名ロンサーフ(R))による先制治療と標準治療である経過観察(プラセボ)と比較し、その有用性を検証する。大腸がんの術後微小残存病変をターゲットとした治験の実施は世界で初めて。
また、今回は製薬企業からの資金に加え、民間企業からの投資資金を活用する新たな医師主導治験の枠組みを構築する。従来、治験費用は製薬企業のみが負担することが通例だったが、ソフトバンク株式会社など製薬企業以外の民間企業からの出資を募ることで、大規模な国際共同医師主導治験の実施が可能となったという。
今後も、同様の枠組みを活用して、世界初となる画期的な治療法を日本から継続的に発信していくことが期待される。研究グループは、同試験で得たがんゲノム情報や臨床情報のビッグデータを活用し、がんの遺伝子異常に基づいた個別化医療の実現と患者一人ひとりに応じた最適な医療の提供を目指すとしている。
参照元:国立がん研究センター プレスリリース