2020年12月5日~8日、オンラインミーティングで開催された第62回米国血液学会議(ASH 2020)にて移植適応の新規多発性骨髄腫患者に対する抗CD38モノクローナル抗体であるダラツムマブ(商品名ダラザレックス;以下ダラザレックス)+レナリドミド(商品名レブラミド;以下レブラミド)+ボルテゾミブ(商品名ベルケイド;以下ベルケイド)+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のGRIFFIN試験(NCT02874742)の結果がWinship Cancer InstituteのJonathan L. Kaufman氏らにより公表された。
GRIFFIN試験とは、移植適応の新規多発性骨髄腫患者(N=207人)に対する導入療法としてダラザレックス+レブラミド+ベルケイド+デキサメタゾン併用療法(D-RVd)を4サイクル投与後、大量化学療法/自家造血幹細胞移植(HDT/ASCT)を実施し、地固め療法としてD-RVd併用療法を2サイクル投与後、維持療法としてダラザレックス+レブラミド併用療法を24ヵ月間投与する群(N=104人)、またはレブラミド+ベルケイド+デキサメタゾン併用療法(RVd)を4サイクル投与後、大量化学療法/自家造血幹細胞移植(HDT/ASCT)を実施し、地固め療法としてRVd併用療法を2サイクル投与後、維持療法としてレブラミド単剤療法を24ヵ月間投与する群(N=103人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として大量化学療法/自家造血幹細胞移植(HDT/ASCT)後の厳格な完全寛解率(sCR)、副次評価項目として微小残存病変(MRD)陰性を達成した患者における無増悪生存期間(PFS)などを比較検証した第2相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値13.5ヵ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である大量化学療法/自家造血幹細胞移植(HDT/ASCT)後の厳格な完全寛解率(sCR)はD-RVd群42.4%に対してRVd群32.0%(P=0.0680)。
維持療法12ヵ月間、フォローアップ期間中央値26.7ヵ月時点における厳格な完全寛解率(sCR)はD-RVd群63.6%に対してRVd群47.4%(P=0.0253)。副次評価項目である24ヵ月無増悪生存率(PFS)はD-RVd群94.5%に対してRVd群90.8%として見込まれた。
一方の安全性として、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はD-RVd群84.8%に対してRVd群79.4%を示した。なお、本試験で新たに確認された治療関連有害事象(TRAE)はなく、既存のダラザレックス、レブラミド、ベルケイド、デキサメタゾンの安全性プロファイルと一致していた。
以上のGRIFFIN試験の結果よりJonathan L. Kaufman氏らは以下のように結論を述べている。”移植適応の新規多発性骨髄腫患者に対する導入療法、地固め療法としての抗CD38モノクローナル抗体ダラザレックス+レブラミド+ベルケイド+デキサメタゾン併用療法、維持療法としてのダラザレックス+レブラミド併用療法は、持続的で深い奏効を示しました。”
Daratumumab (DARA) Plus Lenalidomide, Bortezomib, and Dexamethasone (RVd) in Patients with Transplant-Eligible Newly Diagnosed Multiple Myeloma (NDMM): Updated Analysis of Griffin after 12 Months of Maintenance Therapy(62nd ASH Annual Meeting & Exposition,Abstract 549)