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治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫に対するベランタマブ マフォドチン+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法、客観的奏効率86.2%を示す

[公開日] 2020.12.21[最終更新日] 2020.12.21

この記事の3つのポイント ・治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫患者が対象の第1相試験 ・ベランタマブ マフォドチン+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法の有効性・安全性を検証 ・第2相推奨用量は2.5mg/kgであり、客観的奏効率は86.2%を示した

2020年12月5日~8日、オンラインミーティングで開催された第62回米国血液学会議(ASH 2020)にて治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫患者に対する抗BCMA抗体薬物複合体であるBelantamab mafodotin(ベランタマブ マフォドチン:GSK2857916)+ポマリスト(一般名:ポマリドミド、以下ポマリスト)+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を検証した第1相試験の結果がPrincess Margaret Cancer CentreのSuzanne Trudel氏らにより公表された。

本試験は、治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対して4週を1サイクルとして1日目にBelantamab mafodotinを1.95または2.5mg/kg(SINGLE群)もしくは1、8日目にBelantamab mafodotinを2.5または3.4mg/kg(SPLIT群)+1~21日目にポマリスト4mg+デキサメタゾン40mg併用療法を投与し、主要評価項目として最大耐用量(MTD)、第2相試験推奨用量(RP2D)などを検証した多施設共同用量漸増試験である。

本試験に登録された35人の患者の年齢中央値は64歳(36~78歳)。前治療歴中央値は3レジメン(2~5レジメン)。前治療歴の種類はプロテアソーム阻害薬100%、レナリドミド100%、ダラツムマブ45.7%。染色体異常ハイリスク(del17p13, t(4;14), t(14;16) or 1q gain)42.1%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

30%以上の患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は角膜症/微小嚢胞様上皮変化65.7%、倦怠感48.6%、好中球減少症48.6%、血小板減少症48.6%、発熱31.4%。10%以上の患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は角膜症40.0%、好中球減少症37.1%、血小板減少症34.3%、視力低下22.9%、肺感染症11.4%、呼吸困難11.4%であった。

主要評価項目である用量制限毒性(DLT)は3人の患者で確認され、いずれも眼関連のイベントであった。4週を1サイクルとしてBelantamab mafodotin 2.5mg/kg(SINGLE)群でグレード3の角膜症が1人、4週を1サイクルとして1、8日目にBelantamab mafodotin 3.4mg/kg(SPLIT)群でグレード3の視力低下、角膜症が1人、グレード4の視力低下、グレード3の角膜症が1人である。以上より、Belantamab mafodotinの最大耐用量(MTD)はSINGLE、SPLITどちらの投与法においても2.5mg/kgとして決定された。

一方の有効性として、評価された29人の患者における奏効率(RR)は下記の通りである。全患者群における客観的奏効率(ORR)は86.2%、奏効の内訳は厳密な完全寛解(sCR)4人、最良部分奏効(VGPR)15人、部分奏効(PR)6人を示した。

以上の第1相試験の結果よりSuzanne Trudel氏らは「治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対する抗BCMA抗体薬物複合体であるBelantamab mafodotin(GSK2857916)+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法の忍容性は、既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致しておりました。また、抗腫瘍効果も良好でしたが、本治療の有用性判断に関しては本試験に登録された患者全ての有効性評価の完了を待ちたいと思います」と結論を述べている。

Part 1 Results of a Dose Finding Study of Belantamab Mafodotin (GSK2857916) in Combination with Pomalidomide (POM) and Dexamethasone (DEX) for the Treatment of Relapsed/Refractory Multiple Myeloma (RRMM)(62nd ASH Annual Meeting & Exposition,Abstract 725)
ニュース 多発性骨髄腫 ベランタマブマフォドチン

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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