2020年12月5日~8日、オンラインミーティングで開催された第62回米国血液学会議(ASH 2020)にて未治療の高齢者や強力な治療に不適格なびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対するCD3とCD20を標的とする二特異性抗体であるMosunetuzumab(モスネツズマブ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1/2相のGO4055試験(NCT03677154)の結果がBrown UniversityのAdam J Olszewski氏らにより公表された。
GO4055試験とは、未治療の高齢者や強力な治療に不適格なびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者(N=19人)に対して21日を1サイクルとしてMosunetuzumab(BTCT4465A)を1サイクル目の1日目に1mg、8日目に2mg、15日目に13.5mgもしくは30mg単剤投与し、主要評価項目としてPrimary Response Assessment(PRA)時点におけるPET-CTによる完全奏効率(CR)、有害事象(AE)発症率を検証した多施設共同オープランラベルの第1/2相試験である。
本試験が開始された背景として、75歳以上のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者の内、最大で30%の患者は治療不適格のためファーストライン治療としての標準化学療法を受けることができない。そのため、標準化学療法不適格なびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者の予後は不良である。以上の背景より、化学療法フリーの治療であるMosunetuzumab単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された患者の年齢中央値84歳(67-100歳)。性別は女性74%(N=14人)。Ann Arbor分類による病期はステージIII~IVが90%(N=17人)。1サイクル目の15日目以降の投与量が13.5mgは8人、30mgは11人。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
全グレードの有害事象(AE)発症率は84%(N=16人)、Mosunetuzumab(BTCT4465A)に関連する全グレードの有害事象(AE)発症率は68%(N=13人)、グレード3~4の有害事象(AE)発症率は37%(N=7人)。なお、致死的な有害事象(AE)は1人の患者でも確認されなかった。
10%以上の患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)はサイトカイン放出症候群47%(N=9人)、発疹21%(N=4人)、好中球減少症11%(N=2人)、悪心11%(N=2人)、食欲不振11%(N=2人)、口渇11%(N=2人)、倦怠感11%(N=2人)、痛み11%(N=2人)、筋肉痙攣11%(N=2人)。
客観的奏効率(ORR)は58%(N=11/19人)、奏効の内訳としては完全奏効率(CR)42%(N=8/19人)。用量別の客観的奏効率(ORR)はMosunetuzumab(BTCT4465A)13.5mg群で完全奏効率(CR)38%(N=3/8人)、部分奏効率(PR)38%(N=3/8人)。Mosunetuzumab(BTCT4465A)30mg群で完全奏効率(CR)45.5%(N=5/11人)、部分奏効率(PR)9%(N=1/11人)。
以上のGO4055試験の結果よりAdam J Olszewski氏ら「未治療の高齢/強力な治療に不適格なびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対するCD3とCD20を標的とする二特異性抗体Mosunetuzumab単剤療法は、非常に良好な抗腫瘍効果を示しました。化学療法フリーであるMosunetuzumab単剤療法は、治療選択肢に限りのある患者さんにとって期待される治療法です」と結論を述べている。
Single-Agent Mosunetuzumab Is a Promising Safe and Efficacious Chemotherapy-Free Regimen for Elderly/Unfit Patients with Previously Untreated Diffuse Large B‑Cell Lymphoma(62nd ASH Annual Meeting & Exposition,Abstract 401)