2020年12月5日~8日、オンラインミーティングで開催された第62回米国血液学会議(ASH 2020)にて未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者に対する抗CD47抗体薬であるMagrolimab (Hu5F9-G4)+アザシチジン併用療法の有効性、安全性を検証した第1b相試験の結果がH. Lee Moffitt Cancer Center and Research InstituteのDavid A. Sallman氏らにより公表された。
本試験は、未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者に対して1週に1回Magrolimab (Hu5F9-G4)1~30mg/kg(3サイクル目以降は2週に1回Magrolimab (Hu5F9-G4)30mg/kg)+28日を1サイクルとして1~7日目にアザシチジン75mg/m2併用療法を投与し、主要評価項目として安全性、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証した第1b相試験である。
本試験に登録された42人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は73歳(31~89歳)。染色体異常リスクは不良が64%。TP53遺伝子変異は65%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
15%以上の患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)発症率は、貧血31%、疲労19%、ビリルビン値上昇19%、好中球減少症19%、血小板減少症17%、吐き気15%。なお、治療関連有害事象(TRAE)は、アザシチジン単剤療法の安全性プロファイルと一致しており、忍容性に問題はなかった。
副次評価項目である全患者群における客観的奏効率(ORR)は65%(N=22人)だった。奏効の内訳は、完全奏効(CR)が44%(N=15人)、血液の回復は不十分だが骨髄では完全寛解(CRi)が12%(N=4人)、部分奏効(PR)が3%(N=1人)だった。また、ベースライン時点より染色体異常リスクを有する患者群における完全奏効率(CR)は47%(N=7/15人)を示した。
TP53遺伝子変異を有する患者群における客観的奏効率(ORR)は71%(N=15/21人)だった。奏効の内訳は完全奏効(CR)48%(N=10人)、血液の回復は不十分だが骨髄では完全寛解(CRi)が19%(N=4人)。また、全生存期間(OS)中央値は、TP53遺伝子変異を有する患者群の12.9ヵ月(95%信頼区間:6.24ヵ月~未到達)に対して、TP53遺伝子変異のない患者群では18.9ヵ月(95%信頼区間:4.34ヵ月~未到達)を示した。
以上の第1b相試験の結果よりDavid A. Sallman氏らは以下のように結論を述べている。”未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者に対する抗CD47抗体薬Magrolimab (Hu5F9-G4)+アザシチジン併用療法は忍容性に問題ありませんでした。また、症例数が少ないものの、TP53遺伝子変異の有無に関係のない抗腫瘍効果を発揮することが確認されました。”
The First-in-Class Anti-CD47 Antibody Magrolimab Combined with Azacitidine Is Well-Tolerated and Effective in AML Patients: Phase 1b Results(62nd ASH Annual Meeting & Exposition,Abstract 330)