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ビラフトビとメクトビ、BRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行/再発大腸がんで適応拡大

[公開日] 2020.12.03[最終更新日] 2020.12.03

11月27日、小野薬品工業株式会社は、BRAF阻害剤のビラフトビ(一般名:エンコラフェニブ)とMEK阻害剤のメクトビ(一般名:ビニメチニブ、以下メクトビ)について、がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行/再発の結腸/直腸がんに対する以下の2つの療法で適応を取得したと発表した。

・ビラフトビ+メクトビ+抗ヒトEGFRモノクローナル抗体であるセツキシマブとの3剤併用療法 ・ビラフトビ+セツキシマブの2剤併用療法

ビラフトビは低分子BRAF阻害剤であり、メクトビは低分子MEK阻害剤である。MAPKシグナル伝達経路(RAS-RAF-MEK-ERK)は細胞増殖、分化、生存、血管新生をなどの活性を調節する経路であり、BRAFとMEKはこの経路において重要なプロテインキナーゼである。ビラフトビとメクトビはそれぞれこの経路における重要な酵素を標的としタンパク質の不適切な活性化を阻害する。

今回の承認は国際共同第3相試験(BEACON CRC試験)の結果に基づいている。同試験は、1次治療、2次治療後に進行したBRAFV600E変異を有する治癒切除不能な進行/再発の結腸/直腸がん患者を対象にビラフトビ+メクトビ+セツキシマブ併用療法群(3剤群)とビラフトビ+セツキシマブ併用療法群(2剤群)とイリノテカンとセツキシマブを含む併用療法群(対照群)とで、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)を検証した。その結果、3剤群、2剤群ともに対照群と比較して統計学的有意な改善を示した。

ビラフトビとメクトビは、現在、BRAFV600E遺伝子変異を有する悪性黒色腫を対象に両剤併用療法を行う第3相COLUMBUS試験、治療歴のないBRAFV600E遺伝子変異を有する結腸/直腸がんを対象に両剤+セツキシマブの3剤併用療法を行う第2相ANCHOR CRC試験などが実施されている。

結腸/直腸がんとは 結腸または直腸に発生する悪性腫瘍であり、年間の新規の罹患者数は日本で約14.6万人、世界で約180万人、年間の死亡者数は約5.7万人、世界で約86.1万人と報告されている。日本において、BRAFV600E遺伝子変異を有するのは結腸/直腸がん全体の4.5~6.7%である。BRAFV600E遺伝子変異がない場合と比較して予後不良であるが、現在BRAF遺伝子変異陽性の結腸/直腸がんが適応の薬剤はなく、新たな治療選択肢が求められている。

BEACON CRC試験とは
1次治療または2次治療後に進行したBRAFV600E変異を有する治癒切除不能な進行または再発の結腸/直腸がん患者(N=665人)を対象にビラフトビ+メクトビ+セツキシマブの3剤併用療法、ビラフトビ+セツキシマブの2剤併用療法、またはイリノテカンとセツキシマブを含む対照併用療法に1:1:1で割り付けた。ビラフトビは1日1回300mg、メクトビは1日2回、1回45mg、セツキシマブは初回のみ400mg/m2、その後週に1回250mg/m2を投与した。

同試験の結果、全生存期間(OS)の中央値は、3剤群で9.0カ月、対対照群で5.4カ月であり、統計学的に有意な延長を示した(HR:0.52、95%信頼区間:0.39-0.70、p<0.0001)。奏効率(ORR)は、3剤群で26.1%、対照群で1.9%であり、3剤群は統計学的に有意に改善した(p<0.0001)。

また、2剤群におけるOSの中央値は8.4カ月であり、2剤群は対照群と比較して統計学的有意にOSを延長した。(HR:0.60、95%信頼区間:0.45-0.79、p=0.0002)。ORRは20.4%であり、2剤群は、対照群と比較して、統計学的に有意な改善を示した(p<0.0001)。

ビラフトビとメクトビの安全性プロファイルに関しては、3剤群および2剤群の両群において予期せぬ毒性は認められなかった。

参照元:
小野薬品工業株式会社 ニュースリリース
ニュース 大腸がん メクトビ

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