2020年11月19日、医学誌『JAMA Oncology』にて再発/難治性卵巣がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)+抗VEGFモノクローナル抗体アバスチン(一般名:ベバシズマブ、以下アバスチン)+経口メトロノミックシクロホスファミド併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02853318)の結果がRoswell Park Comprehensive Cancer CenterのEmese Zsiros氏らにより公表された。
本試験は、再発/難治性卵巣がん患者(N=40人)に対して3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+アバスチン15mg/kg+1日1回メトロノミックシクロホスファミド50mg併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)を検証した第2相試験である。
本試験が開始された背景として、再発難治性卵巣がんの治療選択肢は非常に限られており、臨床的ベネフィットを示す治療法の開発が必要とされている。以上の背景より、抗PD-1抗体薬キイトルーダ+抗VEGFモノクローナル抗体アバスチン+経口メトロノミックシクロホスファミド併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された40人の患者のうち、30人(75.0%)はプラチナ耐性であり、10人(25.0%)はプラチナ感受性卵巣がんである。年齢中央値は62.2歳。以上の背景を有する患者に対する結果は下記の通りである。
主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は47.5%、臨床的ベネフィット率(CBR)95.0%で、その内訳は完全奏効率(CR)7.5%(N=3人)、部分奏効率(PR)40.0%(N=16人)、病勢安定率(SD)47.5%(N=19人)を示した。また、もう1つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は10.0ヵ月(90%信頼区間:6.5-17.4ヵ月)を示した。
一方の安全性として、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は高血圧15.0%(N=6人)、リンパ球減少症7.5%(N=3人)を示した。また、最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は疲労45.0%(N=18人)、下痢32.5%(N=13人)、高血圧27.5%(N=11人)であった。
以上の第2相試験の結果よりEmese Zsiros氏らは「再発難治性卵巣がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ+抗VEGFモノクローナル抗体アバスチン+経口メトロノミックシクロホスファミド併用療法は、忍容性が高く、臨床的ベネフィット率(CBR)は95.0%と、持続的な抗腫瘍効果を示しました。以上の結果より、本治療は治療選択肢になり得る可能性が示唆されました」と結論を述べている。
Efficacy and Safety of Pembrolizumab in Combination With Bevacizumab and Oral Metronomic Cyclophosphamide in the Treatment of Recurrent Ovarian Cancer: A Phase 2 Nonrandomized Clinical Trial(JAMA Oncol. 2020 Nov 19. doi: 10.1001/jamaoncol.2020.5945.)