術前療法を経たHER2陽性乳がんに対してトラスツズマブ デルクステカンを術後投与する第3相試験が開始ー第一三共ー


  • [公開日]2020.11.06
  • [最終更新日]2020.11.06

11月4日、第一三共株式会社と英・アストラゼネカ社は、術前療法後に浸潤性残存病変を有する再発リスクの高いHER2陽性乳がんを対象にトラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)を投与する第3相DESTINY-Breast05試験を開始したと発表した。

トラスツズマブ デルクステカンはHER2に対する抗体薬物複合体ADC)である。ADCとは抗体と薬物(低分子化合物)を結合させた薬剤。がん細胞の表面に発現している特定の因子に結合する抗体を介して直接的にがん細胞へ薬剤を届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃を高める役割を果たす。

同試験は、術前療法を経た手術後に乳房または腋窩リンパ節に浸潤性残存病変を有するHER2陽性乳がん患者のうち再発リスクが高い患者を対象に、トラスツズマブ デルクステカンとトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1、商品名:カドサイラ)を直接比較する第3相試験。主要評価項目無浸潤疾患生存期間(IDFS)である。北米・欧州・アジアで最大1600名の患者を登録する予定である。

第一三共と英・アストラゼネカは「がん患者さんに新しい治療の選択肢を提供できるよう、本剤の開発を加速させてまいります」と述べている。

HER2陽性乳がんとは
乳がんは世界で約210万人が1年間に新規で罹患する。女性においては主要ながん死亡の原因の疾患である。HER2はがん細胞の表面に発現しているが、過剰発現は進行性の疾患や予後不良と関連している。

参照元:
第一三共株式会社 プレスリリース

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