10月2日、中外製薬株式会社は、遺伝子変異解析プログラムである「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」に、選択的線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬のペミガチニブのFGFR2融合遺伝子陽性の局所進行または転移性胆管がんに対するコンパニオン診断機能の追加承認申請を行ったと発表した。
FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルは次世代シークエンサーを用いた包括的ながん関連遺伝子解析システムであり、324の遺伝子における変異を調べることが出来る。今回の申請により、FGFR2融合遺伝子陽性の局所進行又は転移性胆管がんに対して同プラグラムを用いてFGFR2融合遺伝子を検出することでペミガチニブの適応判定の補助が可能になる。
ペミガチニブは、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社が開発した薬剤。FGFR2融合遺伝子陽性の局所進行または転移性胆管がんの治療薬として厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受け、同疾患に対する承認申請を9月14日に実施していた。
中外製薬の代表取締役社長COOの奥田修氏は「胆管がんは治療選択肢が限られており、アンメットメディカルニーズの高い疾患です。近年、FGFR2が胆管がんのドライバー遺伝子の1つとして同定されたため、分子標的治療薬による治療の検討が進められてきました」と述べるとともに、「ペミガチニブのコンパニオン診断として、新たに胆管がんにおいてもFoundationOne CDx がんゲノムプロファイルが治療アプローチに貢献できるよう、承認に向けた対応を進めてまいります」と語っている。
FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルとは 米国のファウンデーション・メディシン社により開発された、次世代シークエンサーを用いた包括的ながん関連遺伝子解析システム。患者の固形がん組織から得られたDNAを用いて、324の遺伝子における置換、挿入、欠失、コピー数異常および再編成などの変異等の検出および解析、ならびにバイオマーカーとして、マイクロサテライト不安定性(Microsatellite Instability:MSI)の判定や腫瘍の遺伝子変異量(Tumor Mutational Burden:TMB)の算出を行う。また、国内既承認の複数の分子標的薬のコンパニオン診断として、適応判定の補助に用いることができる。
線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)とは 腫瘍細胞の増殖や生存、移動、血管新生において重要な役割をもつ。FGFRにおける遺伝子変異の活性化、転座、遺伝子増幅はさまざまながんの発達と密接に関連している。
参照元:中外製薬株式会社 ニュースリリース