・サルコーマの患者が対象の第1/2相試験
・キイトルーダ+ドキソルビシン併用療法の有効性・安全性を比較検証
・客観的奏効率は第2相試験段階で13%、第1/2相試験段階で19%を示した
2020年9月10日、医学誌『JAMA Oncology』にて進行性肉腫(サルコーマ)患者に対する抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ;以下キイトルーダ)+ドキソルビシン併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験(NCT02888665)の結果がFred Hutchinson Cancer Research CenterのSeth M. Pollack氏らにより公表された。
本試験は、サルコーマ患者に対してキイトルーダ+ドキソルビシン併用療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS) などを検証した第1/2相試験である。
ドキソルビシンをベースとした治療は進行性/転移性サルコーマの最も多くの患者に一次治療として用いられている。また、PD-L1は特に未分化多型肉腫で多く発現している。ドキソルビシンに抗PD-L1/PD-1抗体薬を上乗せした抗腫瘍効果を評価する臨床試験が試みられているがいずれも改善を示してはいない。以上の背景より、進行性サルコーマ患者に対しキイトルーダ+ドキソルビシン併用療法の有用性の検証が行われた。
本試験に登録された37人の患者背景は下記の通りである。性別は男性22人、女性15人。年齢中央値は58.4歳。サルコーマの主な組織学的分類は平滑筋肉腫が11人だった。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は第2相試験段階で13%、第1/2相試験段階で19%を示した。また、副次評価項目である無増悪生存期間(PFS) 中央値は8.1ヶ月(95%信頼区間;7.6-10.8ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は27.6ヶ月(95%信頼区間;18.7ヶ月-未到達)を示した。
以上の第1/2相試験の結果よりSeth M. Pollack氏らは「進行性肉腫(サルコーマ)患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ+ドキソルビシン併用療法は忍容性が良好でした。また、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は事前設定した評価基準に未到達であったものの、無増悪生存期間(PFS) 、全生存期間(OS)は良好な結果でした」と結論を述べている。
Assessment of Doxorubicin and Pembrolizumab in Patients With Advanced Anthracycline-Naive Sarcoma-A Phase 1/2 Nonrandomized Clinical Trial-(JAMA Oncol. 2020 Sep 10. doi: 10.1001/jamaoncol.2020.3689.)