・MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能進行再発非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・テポチニブ単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・客観奏効率は46%、奏効持続期間中央値は11.1ヵ月を示した
2020年9月3日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にてMET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能進行再発非小細胞肺がんに対するMET選択的阻害薬であるテポチニブ単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のVISION試験(NCT02864992)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのPaul K. Paik氏らにより公表された。
VISION試験とは、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能進行再発非小細胞肺がん患者(N=152人)に対して1日1回テポチニブ500mg単剤療法を投与し、主要評価項目として独立評価機関判定により客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、安全性などを検証した第2相試験である。
MET遺伝子エクソン14スキッピング変異は非小細胞肺がんの約3~4%の患者で確認されている。そこでMET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の固形がんに対して良好な抗腫瘍効果が確認されているMET選択的阻害薬であるテポチニブの有用性を確認する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された患者の年齢中央値は74歳、46%の患者は喫煙歴あり。テポチニブの治療期間中央値は6.9ヵ月(0.1-36.7ヵ月)。有効性のフォローアップ期間中央値は17.4ヵ月、安全性のフォローアップ期間中央値は11.8ヵ月。
本試験の結果、主要評価項目である独立評価機関判定により客観的奏効率(ORR)は46%(95%信頼区間:36%-57%)、奏効持続期間(DOR)中央値は11.1ヵ月(95%信頼区間:7.2ヵ月-未到達)を示した。
一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は28%の患者で確認され、最も多くの患者で確認されたのは末梢性浮腫7%であった。また、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率は11%であった。
以上のVISION試験の結果よりPaul K. Paik氏らは「MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能進行再発非小細胞肺がんに対するMET選択的阻害薬テポチニブ単剤療法は、約半数の患者で部分奏効(PR)を達成しました。また、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は末梢性浮腫でした」と結論を述べている。
Tepotinib in Non–Small-Cell Lung Cancer with MET Exon 14 Skipping Mutations(N Engl J Med. 2020 Sep 3;383(10):931-943. doi: 10.1056/NEJMoa2004407. Epub 2020 May 29.)