・転移性頭頸部扁平上皮がん患者が対象の第2相試験
・定位放射線治療+オプジーボ併用療法の有効性・安全性を検証
・オプジーボ単剤療法に比べて、有効性の統計学的有意な差は確認されず
2020年8月21日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対する定位放射線治療(SBRT)+抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)併用療法、オプジーボ単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02684253)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのSean McBride氏らにより公表された。
本試験は、転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対して2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg+定位放射線治療(9Gy×3)併用療法を投与する群、または2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg単剤療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、奏効持続期間(DOR)などを検証したシングルアームランダム化の第2相試験である。
本試験が開始された背景として、転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対する治療薬としてオプジーボをはじめとした免疫チェックポイント阻害薬は良好な抗腫瘍効果を示している。しかしながら、転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対する抗PD-1抗体薬単剤療法の客観的奏効率(ORR)はオプジーボで13.3%、ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)で14.4%~16.9%と低率である。以上の背景より、オプジーボに定位放射線治療(SBRT)を加える相乗効果を検証する目的で本試験が実施された。
本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はオプジーボ+定位放射線治療群34.5%(95%信頼区間:19.9%-52.7%)に対してオプジーボ群29.0%(95%信頼区間:16.1%-46.6%,P=0.86)を示し、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。
副次評価項目である全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、奏効持続期間(DOR)においてもオプジーボ+定位放射線治療、オプジーボの両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(P=0.75,P=0.79,P=0.26)。一方の安全性として。グレード3~5の有害事象(AE)発症率はオプジーボ+定位放射線治療群13.3%に対してオプジーボ群9.7%(P=0.70)を示した。
以上の第2相試験の結果よりSean McBride氏らは以下のように結論を述べている。”転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対するオプジーボ+定位放射線治療は、オプジーボ単剤療法に比べて主要評価項目である客観的奏効率(ORR)をはじめ有効性において統計学的有意な差は確認されませんでした。”
Randomized Phase II Trial of Nivolumab With Stereotactic Body Radiotherapy Versus Nivolumab Alone in Metastatic Head and Neck Squamous Cell Carcinoma(J Clin Oncol. 2020 Aug 21;JCO2000290. doi: 10.1200/JCO.20.00290.)