カドサイラ、HER2陽性早期乳がんの術後薬物療法としての承認取得ー中外製薬ー

  • [公開日]2020.08.26
  • [最終更新日]2020.08.26

8月21日、中外製薬株式会社は、カドサイラ点滴静注用100mg、同160mg(一般名:トラスツズマブ エムタンシン、以下カドサイラ)について、HER2陽性乳がんに対する術後薬物療法として適応追加が承認されたと発表した。

カドサイラは抗HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体。抗HER2ヒト化モノクローナル抗体であるトラスツズマブと化学療法剤であるDM1が結合しており、トラスツズマブがHER2シグナル伝達の阻害と抗体依存性細胞傷害作用とDM1を直接HER2陽性のがん細胞内部に届ける役割を持ち、がん細胞を破壊する。

今回の承認はハーセプチンを含む術前薬物療法で病理学的完全奏効(pCR)が得られなかったHER2陽性早期乳がん患者(N=1486人)にカドサイラの術後薬物療法としての有効性をハーセプチンと比較検証した第3相国際共同臨床試験(KATHERINE試験)の結果に基づくもの。同試験においてカドサイラの浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)の優越性が示され、安全性については、既承認の治療と同様であった。

代表取締役社長COOの奥田修氏は、「HER2陽性早期乳がんの治療において、術前薬物療法によるpCRが得られなかった場合の予後は不良とされています。承認審査で評価されたKATHERINE試験では、カドサイラはハーセプチンに比べ浸潤性疾患のない生存期間を指標とした再発リスクを50%低下させることが示されており、今回の承認により治癒を目指す患者さんのアンメットメディカルニーズを満たすとともに、治療の進展に貢献できることを大変嬉しく思います」と述べている。

KATHERINE試験について
ハーセプチンを含む術前薬物療法でpCRが得られなかったHER2陽性早期乳がん患者に術後薬物療法としてハーセプチン投与群とカドサイラ投与群で有効性と安全性を比較検証した非盲検ランダム化第3相国際共同臨床試験。主要評価項目である浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)について、カドサイラのハーセプチンに対するIDFSの優越性を示した(非層別ハザード比:0.50(95%信頼区間:0.39-0.64)、log-rank検定、p<0.0001)。また、カドサイラの安全性は、既承認のHER2陽性転移性乳がんにおける治療で認められている安全性プロファイルと同様であった。

参照元:
中外製薬株式会社 ニュースリリース

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン