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BRCA1/BRCA2遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がんに対するルカパリブ単剤療法、客観的奏効率43.5%を示す

[公開日] 2020.08.27[最終更新日] 2020.08.27

この記事の3つのポイント
・BRCA1/2遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がんが対象の第2相試験
・ルカパリブ単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・客観的奏効率43.5%を示した
2020年8月14日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてBRCA1/BRCA2遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者に対するPARP阻害薬であるルカパリブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のTRITON2試験(NCT02952534)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのWassim Abida氏らにより公表された。 TRITON2試験とは、治療歴のあるBRCA1/BRCA2遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者(N=115人)に対して1日2回ルカパリブ単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、PSA奏効率などを検証した第2相試験である。 転移性去勢抵抗性前立腺がん患者の約12%はBRCA1またはBRCA2遺伝子変異陽性である。BRCA1またはBRCA2遺伝子変異は前立腺がんの発症リスク、遠隔転移リスクを増加させる。PARP阻害薬はBRCA1またはBRCA2遺伝子変異などの相同組み換え修復(HRR)の欠損を有する細胞、腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する作用メカニズムを有しており、本患者に対する有用性が期待される。以上の背景より本試験が開始された。 本試験の結果、主要評価項目である独立評価委員会による客観的奏効率(ORR)は43.5%(95%信頼区間:31.0%-56.7%,N=27/67人)、主治医評価による客観的奏効率(ORR)は50.8%(95%信頼区間:38.1%-63.4%,N=33/65人)を示した。また、もう1つの主要評価項目であるPSA奏効率は54.8%(95%信頼区間:45.2%-64.1%,N=63/115人)を示した。 一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は貧血で、発症率は25.2%(N=29/115人)を示した。 以上のTRITON2試験の結果よりWassim Abida氏らは「BRCA1/BRCA2遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者に対するPARP阻害薬ルカパリブ単剤療法は、良好な抗腫瘍効果を示しました。また、安全性も既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致しており、良好でした」と結論を述べている。 Rucaparib in Men With Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer Harboring a BRCA1 or BRCA2 Gene Alteration(J Clin Oncol. 2020 Aug 14;JCO2001035. doi: 10.1200/JCO.20.01035.)
ニュース 前立腺がん NCT02952534

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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