・同種造血幹細胞移植後のFLT3-ITD変異陽性急性骨髄性白血病患者が対象の第3相試験
・維持療法としてのネクサバール単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・ネクサバール群の再発率は7.0%であり、再発リスクを75%減少した
2020年8月10日、医学誌『The Lancet Oncology』にて同種造血幹細胞移植療法後のFLT3-ITD変異陽性急性骨髄性白血病(AML)患者に対する維持療法としてソラフェニブ(商品名ネクサバール;以下ネクサバール)単剤療法の有効性、安全性を検証した第3相試験(NCT02474290)の結果がSouthern Medical UniversityのLi Xuan氏らにより公表された。
本試験は、同種造血幹細胞移植療法後のFLT3-ITD変異陽性急性骨髄性白血病(AML)患者(N=202人)に対して1日2回ネクサバール400mg単剤療法を投与する群(N=100人)、または維持療法非介入群(N=102人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として再発率、副次評価項目として全生存期間(OS)などを比較検証した第3相試験である。
本試験が開始された背景として、同種造血幹細胞移植療法後のFLT3-ITD変異陽性急性骨髄性白血病(AML)患者に対する維持療法としてのネクサバールが再発を減少する可能性があると、レトロスペクティブ試験にて示唆されている。以上の背景より本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値21.3ヵ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である再発率はネクサバール群7.0%(95%信頼区間:3.1%-13.1%)に対して非介入群24.5%(95%信頼区間:16.6%-33.2%)、ネクサバール群で再発リスク75%減少(HR:0.25,95%信頼区間:0.11-0.57,P=0.0010)した。
また、同種造血幹細胞移植療法後の210日以内に発生が確認されたグレード3~4の有害事象(AE)は感染症がネクサバール群25%に対して非介入群24%、急性移植片対宿主病(GVHD)がネクサバール群23%に対して非介入群21%。なお、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は確認されなかった。
以上の第3相試験の結果よりLi Xuan氏らは「同種造血幹細胞移植療法後のFLT3-ITD変異陽性急性骨髄性白血病(AML)患者に対する維持療法としてのネクサバール単剤療法は、再発率を減少させ、忍容性も問題ありませんでした。以上の結果より本患者の治療選択肢になり得る可能性が示唆されました」と結論を述べている。
Sorafenib maintenance in patients with FLT3-ITD acute myeloid leukaemia undergoing allogeneic haematopoietic stem-cell transplantation: an open-label, multicentre, randomised phase 3 trial(Lancet Oncol. 2020 Aug 10;S1470-2045(20)30455-1. doi: 10.1016/S1470-2045(20)30455-1.)