BRAFV600変異陽性のがん患者に対するタフィンラー+メキニスト併用療法、客観的奏効率38%を示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2020.08.19
  • [最終更新日]2020.08.19
この記事の3つのポイント
BRAFV600変異陽性固形がん、リンパ腫、多発性骨髄腫患者が対象の臨床試験
タフィンラーメキニスト併用療法の有効性安全性を検証
・客観的奏効率は38%を示した

2020年8月6日、医学誌『Journal of Clinical Oncology(JCO)』にてBRAFV600変異陽性固形がん、リンパ腫、多発性骨髄腫患者に対するBRAF阻害薬であるダブラフェニブ(商品名タフィンラー;以下タフィンラー)+MEK1/2阻害薬であるトラメチニブ(商品名メキニスト;以下メキニスト)併用療法の有効性、安全性を検証したEAY131-H試験の結果がDuke UniversityのApril K.S. Salama氏らにより公表された。

EAY131-H試験とは、BRAFV600変異陽性固形がん患者に対して1日2回タフィンラー150mg+1日1回メキニスト2mg併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)などを検証したシングルアームオープンラベル試験である。

BRAFV600変異陽性は悪性黒色腫、甲状腺がん患者で一般的に多く発現が確認されるが、それ以外のがん腫では少ない。しかしながら、固形がん、リンパ腫、多発性骨髄腫の患者の間でもまれにBRAFV600変異陽性は確認される。以上の背景より、BRAFV600変異陽性固形がん、リンパ腫、多発性骨髄腫患者に対するBRAF阻害薬タフィンラー+MEK1/2阻害薬メキニスト併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された35人の患者の平均年齢中央値は59歳。前治療歴は45%が3レジメン以上である。

主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は38%(90%信頼区間:22.9%-54.9%, P<0.0001)を示し達成した。また、12ヶ月以上の持続奏効を示した患者は7人、24ヶ月以上の持続奏効を示した患者は4人であった。副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は11.4ヶ月(90%信頼区間:8.4-16.3ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は28.6ヶ月を示した。

EAY131-H試験の結果よりApril K.S. Salama氏らは「BRAFV600変異陽性固形がん患者に対するBRAF阻害薬タフィンラー+MEK1/2阻害薬メキニストは臨床的意義のある客観的奏効率(ORR)を達成しました」と結論を述べている。

Dabrafenib and Trametinib in Patients With Tumors With BRAFV600E Mutations: Results of the NCI-MATCH Trial Subprotocol H(J Clin Oncol. 2020 Aug 6;JCO2000762. doi: 10.1200/JCO.20.00762.)

×

リサーチのお願い


この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン