・EGFR遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・アバスチン+タルセバ併用療法の有効性・安全性を検証
・OSとPFS2ともに統計学的な有意差を示さなかった
2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にてEGFR遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対するベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)+EGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるエルロチニブ(商品名タルセバ;以下タルセバ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のNEJ026試験(UMIN000017069)の全生存期間(OS)の最終解析結果が岩手医科大学の前門戸 任氏らにより公表された。
NEJ026試験とは、EGFR遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対して3週を1サイクルとしてアバスチン15mg/kg+1日1回タルセバ150mg併用療法を投与(N=112人)する群と1日1回タルセバ150mg単剤療法を投与する群(N=114人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)などを比較検証した第3相試験である。
前回の中間解析では主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はタルセバ単剤群に比べてアバスチン+タルセバ併用療法で統計学的有意に改善することが示された。しかしながら、全生存期間(OS)はイベント発生件数が少ないため結果は未成熟であった。以上の背景より、今回NEJ026試験の全生存期間(OS)の最終解析結果が公表された。
本試験のフォローアップ期間中央値39.2ヶ月時点における結果は下記の通りである。全生存期間(OS)中央値はアバスチン+タルセバ併用群50.7ヶ月に対してタルセバ単剤群46.2ヶ月、両群間で統計学有意な差は確認されなかった(HR:1.007,95%信頼区間:0.681-1.490,P=0.973)。
また、副次評価項目である無増悪生存期間2(PFS2:二次治療後の病勢進行または死亡として定義)中央値はアバスチン+タルセバ併用群28.6ヶ月に対してタルセバ単剤群24.3ヶ月で、両群間で統計学有意な差は確認されなかった(HR:0.773,95%信頼区間:0.562-1.065,P=0.205)。
以上のNEJ026試験の最終解析結果より前門戸 任氏らは“「EGFR遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対するベバシズマブ+タルセバ併用療法は、全生存期間(OS)、無増悪生存期間2(PFS2)において統計学的有意な差を示すことはできませんでした」と結論を述べている。
NEJ026: Final overall survival analysis of bevacizumab plus erlotinib treatment for NSCLC patients harboring activating EGFR-mutations.(2020 ASCO Virtual Scientific Program,Abstract No:9506)