6月18日、中外製薬株式会社(以下、中外製薬)は、PD-L1の発現状況を問わない早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者を対象とした第3相臨床試験「IMpassion031試験」において、化学療法とテセントリク(一般名:アテゾリズマブ)の併用療法が主要評価項目である病理学的完全奏功(pCR)を統計学的有意に改善したことを発表した。
テセントリクは、予後不良で治療が困難なTNBC患者の治療において、現在、唯一承認されている免疫チェックポイント阻害薬。腫瘍細胞または腫瘍浸潤免疫細胞に発現するタンパク質、PD-L1を標的としている。(参照元:中外製薬株式会社 2019年11月27日ニュースリリース)
IMpassion031試験は、早期TNBCの術前薬物療法として、パクリタキセル、ドキソルビシン、シクロホスファミドの併用化学療法単独と併用化学療法にテセントリクを追加した療法に割り付け、有効性と安全性を評価した多施設共同二重盲検ランダム化第3相試験。主要評価項目であるpCRを統計学的有意に改善した。同試験はTNBCに対するテセントリクの有用性を示した2つ目の試験であり、早期TNBCにおいては初めて有用性を示した試験である。
また、安全性については、これまでに認められている安全性プロファイルと同様であり、今回の併用療法による新たな懸念事項は認めなかった。同試験の結果は今後医学系学会にて発表されるとともに米国食品医薬品局(FDA)などと協議予定である。
代表取締役社長COOの奥田修氏は、「テセントリクは、乳がん領域で初めて承認された免疫チェックポイント阻害剤です。今回、早期のTNBCに対しても良好な成績を示したことを嬉しく思います」と述べている。
トリプルネガティブ乳がんとは トリプルネガティブ乳がんは、全乳がんの約15%を占め、他のタイプの乳がんに比べ、50歳未満の女性に多い。トリプルネガティブ乳がんは、ホルモン受容体(エストロゲン受容体およびプロゲステロン受容体)の発現やヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)の過剰発現を伴わない悪性腫瘍と定義され、他のタイプの乳がんに比べ一般的に増殖能が高く、生存期間が短くなると言われている。