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エンハーツ、HER2陽性の転移性非小細胞肺がんに客観的奏効率61.9%を示す

[公開日] 2020.06.18[最終更新日] 2020.06.18

この記事の3つのポイント
・HER2陽性の転移性非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・エンハーツ単剤療法の有効性・安全性を検証
・データカットオフ時で客観的奏効率61.9%を示した

2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にてHER2陽性の転移性非小細胞肺がん患者に対する抗HER2抗体薬物複合体(ADC)であるトラスツズマブ デルクステカン(商品名エンハーツ;以下エンハーツ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のDESTINY-Lung01試験(NCT03505710)の結果がNetherlands Cancer InstituteのEgbert F. Smit氏らにより公表された。

DESTINY-Lung01試験とは、HER2陽性の転移性非小細胞肺がん患者に対して3週を1サイクルとしてエンハーツエンハーツ6.4mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性などを検証した第2相試験である。

本試験に登録された42人の患者背景は、性別は女性が64.3%、年齢中央値は63.0歳(34-83歳)、65歳未満の方は59.5%、中枢神経系(CNS)転移がある患者は45.2%。ECOG パフォーマンスステータススコア0が23.8%、スコア1が76.2%。前治療歴中央値は2レジメン(1−6レジメン)、前治療歴の薬剤はプラチナ系抗がん剤が54.8%、抗PD-1抗体/PD-L1抗体が54.8%であった。

以上の背景を有する患者に対する2019年11月時点のデータカットオフ時(治療期間中央値7.75ヶ月時点)における結果は次の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は61.9%(N=42人,95%信頼区間:45.6%-76.4%)を示した。副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は未到達。無増悪生存期間(PFS)中央値は14.0ヶ月(95%信頼区間:6.4-14.0ヶ月)。病勢コントール率(DCR)90.5%(95%信頼区間:77.4%-97.3%)。

安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は100%、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は64.3%を示した。また、治療関連有害事象(TRAE)により治療中断率59.5%、治療減量率38.1%、治療中止率23.8%を示した。なお、間質性肺疾患(ILD)は11.9%(N=5人)の患者で確認されている。

以上のDESTINY-Lung01試験の結果よりEgbert F. Smit氏らは「HER2陽性の転移性非小細胞肺がん患者に対する抗HER2抗体薬物複合体(ADC)であるエンハーツ単剤療法は、高率で持続的な奏効率(ORR)を示しました。また、安全性プロファイルも既存の臨床試験で確認されている内容と一致しておりました」と結論を述べている。

Trastuzumab deruxtecan (T-DXd; DS-8201) in patients with HER2-mutated metastatic non-small cell lung cancer (NSCLC): Interim results of DESTINY-Lung01.(2020 ASCO Virtual Scientific Program,Abstract No:9504)
ニュース 肺がん NCT03505710

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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