5月29日、ヤンセンファーマ株式会社(以下ヤンセンファーマ)は、アーリーダ(一般名アパルタミド 以下アーリーダ)が遠隔転移を有する前立腺がんの適応追加承認を取得したと発表した。
アーリーダは、アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤であり、前立腺がん細胞におけるアンドロゲンシグナル経路を遮断する。アンドロゲンがアンドロゲン受容体(AR)に結合するのを阻害する、ARががん細胞核内に移行するのを止める、ARががん細胞のDNAに結合するのを阻害することでがん細胞の増殖を阻害する。日本においては、遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がんに適応承認されている。
今回の承認は、骨転移があり、アンドロゲン除去療法(ADT)開始6ヶ月以内の前立腺がんにアーリーダとプラセボの有効性、安全性、忍容性を評価した第3相試験(TITAN試験)の結果に基づく。同試験により、アーリーダはプラセボと比較して死亡リスクを33%低下させ、画像上の無増悪生存期間のリスク低下も認めた。
ヤンセンの代表取締役社長のクリス・フウリガン氏は、「アーリーダは、日本の前立腺がん治療を変革する可能性を秘めており、転移性前立腺がん治療の重要な選択肢になり得ます。今回の承認は、前立腺がん領域における革新的な治療法を開発し続け、患者さんのための標準治療を改善するというヤンセンのコミットメントを強化するものです」と述べている。
前立腺がんとは
日本では2019年の罹患数が約7万8,500人と男性では最も罹患の多いがん腫。新たに前立腺がんと診断される患者の約10~20%は前立腺全摘除術後も再発リスクのある局所進行性前立腺がんであり、約5~10%は骨または内臓などへの遠隔転移を有する進行性前立腺がんである。
TITAN試験
TITAN試験は、骨転移を有し、ADT開始後6ヶ月以内の前立腺がん患者を対象とする第3相、ランダム化、二重盲検試験。1,050名を超える前立腺がん患者がADT併用下でアーリーダを投与する群またはプラセボを投与する群のいずれかにランダムに割り付けられた。同試験の主要評価項目はOSとrPFS。副次評価項目は、化学療法開始までの期間、痛みの増悪までの期間、オピオイドの慢性使用までの期間、骨関連事象までの期間であり、その他にADT併用下でアーリーダを投与した際の安全性等も評価している。
ヤンセンファーマ株式会社 プレスリリース