ステボロニン 頭頸部がんへの世界初のがん治療ホウ素中性子補足療法用剤として発売ーステラファーマー


  • [公開日]2020.05.22
  • [最終更新日]2020.05.28

5月19日、ステラファーマ株式会社(以下ステラファーマ)は、ホウ素中性子補足療法(BNCT)用ホウ素薬剤であるステボロニン(一般名ボロファラン、以下ステボロニン)が薬価収載され、5月20日より発売されることを発表した。

BNCTはホウ素と体外から照射した中性子線の核反応を利用し、がん細胞を破壊する新しい放射線治療。患者にステボロニンを投与し、がん細胞にホウ素が集まったのちに、体外から患部に向かって中性子線を照射する。ホウ素に中性子線がぶつかると核反応を起こし、放射線(α線とLi核)が発生する。この放射線によってがん細胞が破壊される。照射する中性子線は人体への影響がほとんどないと言われている。ステラファーマはこの治療法で2012年より治験を行っていた。

ステボロニンは、切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がんに対して用いられる。同剤は先駆け審査指定制度の対象品目に指定されており、ステラファーマは「今後も適応拡大を含めた開発プロジェクトの推進に全力を傾け、患者に新たな治療の選択肢を提供することで、日本のみならず世界の医療に貢献できるよう取り組んでまいります」と述べている。

頭頸部がんとは
頭蓋底から鎖骨までの範囲(耳、鼻、口、あご、喉など)にできるがん。日常生活に欠かせない重要な機能を持つ臓器が集まっている部位であり、治療によるがんの制御に併せて、治療後の機能障害を最小限に留める治療法の確立が求められている。

先駆け審査指定制度とは
厚生労働省が「治療薬の画期性」「対象疾患の重篤性」「対象疾患にかかる極めて高い有効性」「世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思」の4つの要件を満たす新薬などについて、開発の早期から優先的に薬事承認にかかわる相談や審査を適用する制度。それにより、審査期間を6ヶ月(通常は12ヶ月)まで短縮することを目指している。

参照元:
日本セルヴィエ株式会社 プレスリリース
ステボロニン製造販売承認に関するプレスリリース

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン