・抗PD-L1抗体薬イミフィンジ単剤療法の有効性・安全性を検証
・副次評価項目である奏効率は、部分奏効率25%、病勢安定率31%を示した
2020年4月9日、医学誌『JAMA Oncology』にてHIV-1陽性進行性固形がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるデュルバルマブ(商品名イミフィンジ;イミフィンジ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のDURVAST試験(NCT03094286)の結果がDexeus University HospitalのMaria Gonzalez-Cao氏らにより公表された。
DURVAST試験とは、HIV-1陽性進行性固形がん患者(N=20人)に対して4週を1サイクルとしてイミフィンジ1500mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、主要評価項目としてフィジビリティ(イミフィンジの治療を最低4ヵ月間継続として定義)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証した非ランダム化オープンラベルの第II相試験である。
本試験が開始された背景として、抗PD-1/PD-L1抗体薬をはじめ免疫チェックポイント阻害薬はさまざまな固形がんに対して有効性が確認されている。しかしながら、HIV-1陽性患者に対するPD-1/PD-L1経路を遮断することによりその安全性が懸念されている。以上の背景より、HIV-1陽性進行性固形がん患者に対するイミフィンジ単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。なお、本試験に登録された患者背景は年齢中央値は54歳(30-73歳)、性別は男性80%、前治療歴で病勢進行した患者は60%である。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目であるイミフィンジ治療期間中央値は4サイクル(1~16サイクル)を示し、フィジビリティが確認された。グレード1~2の治療関連有害事象(TRAE)発症率50%を示し、最も多くの患者で確認されたグレード1~2の治療関連有害事象(TRAE)は下痢、関節痛、無力症であった。また、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は1人の患者でも確認されていない。副次評価項目である奏効率(RR)は部分奏効率(PR)25%、病勢安定率(SD)31%を示した。
以上のDURVAST試験の結果よりMaria Gonzalez-Cao氏らは以下のように結論を述べている。”HIV-1陽性進行性固形がん患者に対する抗PD-L1抗体薬イミフィンジ単剤療法は、フィジビリティがあり抗腫瘍効果も良好でした。そのため、HIV-1陽性であっても進行性固形がん患者に対する免疫チェックポイント阻害薬による治療は有効です。”
Assessment of the Feasibility and Safety of Durvalumab for Treatment of Solid Tumors in Patients With HIV-1 Infection(JAMA Oncol. 2020 Apr 9. doi: 10.1001/jamaoncol.2020.0465.)