前治療歴のある再発卵巣がん患者に対するプジーボ+ヤーボイ併用療法、持続的な抗腫瘍効果と無増悪生存期間の改善を示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2020.04.24
  • [最終更新日]2020.04.23
この記事の3つのポイント
前治療歴のある再発卵巣がん患者が対象の第2相試験
オプジーボヤーボイ併用療法の有効性安全性を比較検証
・オプジーボ単剤と比較し、奏効率オッズ比3.28倍と高率であった

2020年4月10日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて前治療歴のある再発卵巣がん患者に対する抗PD-1抗体薬ニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)+抗CTLA-4抗体薬であるイピリムマブ(商品名ヤーボイ;以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験(NCT02498600)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのDmitriy Zamarin氏らにより公表された。

本試験は、前治療歴のある再発卵巣がん患者に対して2週を1サイクルとしてオプジーボ単剤療法を投与する群(N=49人)、または3週を1サイクルとしてオプジーボ+ヤーボイ併用療法を4サイクル投与後、維持療法として2週を1サイクルとしてオプジーボ単剤療法を最大42サイクル投与する群(N=51人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無作為化より6ヶ月以内に奏効を達成した患者率、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)などを比較検証した試験である。

本試験が開始された背景として、前治療歴のある再発卵巣がん患者に対する抗PD-1抗体薬オプジーボ単剤療法の客観的奏効率(ORR)は8%~10%、無増悪生存期間(PFS)は約2ヶ月程度である。一方、基礎試験の結果では抗PD-1抗体薬、抗CTLA-4抗体薬を併用することで抗腫瘍効果が増強することが確認されている。以上の背景より、本試験が開始された。

本試験の結果、主要評価項目である無作為化より6ヶ月以内に奏効を達成した患者はオプジーボ群12.2%に対してオプジーボ+ヤーボイ併用群31.4%、オプジーボ+ヤーボイ併用群で奏効率はオッズ比3.28倍(85%信頼区間:1.54-,P=0.034)高率であった。

副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はオプジーボ群2ヶ月に対してオプジーボ+ヤーボイ併用群3.9ヶ月、オプジーボ+ヤーボイ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを47%(HR:0.53,95%信頼区間:0.34-0.82,P=0.004)統計学有意に改善した。また、6ヶ月無増悪生存率(PFS)はオプジーボ群16.3%に対してオプジーボ+ヤーボイ併用群25.5%を示した。

全生存期間(OS)中央値はオプジーボ群21.8ヶ月に対してオプジーボ+ヤーボイ併用群28.1ヶ月、オプジーボ+ヤーボイ併用群で死亡(OS)のリスクを21%(HR:0.79,95%信頼区間:0.44-1.42,P=0.43)改善した。

一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はオプジーボ群33%に対してオプジーボ+ヤーボイ併用群49%を示した。なお、オプジーボ+ヤーボイ併用群の患者で多く確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は膵酵素上昇、肝臓酵素上昇、貧血、大腸炎、下痢であった。

以上の第2相試験の結果よりDmitriy Zamarin氏らは以下のように結論を述べている。”前治療歴のある再発卵巣がん患者に対する抗PD-1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法は、持続的な抗腫瘍効果を示し、無増悪生存期間(PFS)を統計学有意に改善しました。また、忍容性もこれまでの臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致しておりました。”

Randomized Phase II Trial of Nivolumab Versus Nivolumab and Ipilimumab for Recurrent or Persistent Ovarian Cancer: An NRG Oncology Study(J Clin Oncol. 2020 Apr 10:JCO1902059. doi: 10.1200/JCO.19.02059.)

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