・ファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・無増悪生存期間は標準化学療法に比べてキイトルーダ群で統計学的有意に改善した
2020年4月2日、米メルク・アンド・カンパニー社は高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはDNA修復欠損(dMMR)進行性大腸がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-177試験(NCT02563002)の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の結果が公表された。
KEYNOTE-177試験とは、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはDNA修復欠損(dMMR)進行性大腸がん患者に対するファーストライン治療として3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg単剤療法を最大35サイクル投与する群、または標準化学療法(mFOLFOX6FOLFIRI±ベバシズマブ/セツキシマブ)を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)を検証した第3相試験である。
本試験が開始された背景として、大腸がん患者の約10~15%は高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはDNA修復欠損(dMMR)を有しており、予後は非常に不良である。しかしながら、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはDNA修復欠損(dMMR)を有する治療歴のある大腸がん患者に対して免疫チェックポイント阻害薬は有効性があることが臨床試験で示されている。以上の背景より、本試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は標準化学療法に比べてキイトルーダ群で統計学的有意に改善することが示された。一方の安全性としては、既存の臨床試験で確認されているキイトルーダの安全性プロファイルと一致しており、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。
以上のKEYNOTE-177試験の結果より、メルク・アンド・カンパニーのRoy Baynes氏は以下のようにコメントを述べている。”高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはDNA修復欠損(dMMR)進行性大腸がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダは、現在の標準治療である化学療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。本試験の結果に基づいて、規制当局と話し合い、本治療を可能な限り早期に臨床へ応用できることを楽しみにしております。”