・パージェタ+ハーセプチン+ドセタキセル併用療法の有効性・安全性を比較検証
・全生存期間の中央値はパージェタ群57.1ヶ月に対してプラセボ群40.8ヶ月で、死亡のリスクを31%減少した
2020年3月12日、医学誌『The Lancet Oncology』にて未治療のHER2陽性転移性乳がん患者に対する抗HER2ヒト化モノクローナル抗体ペルツズマブ(商品名パージェタ;以下パージェタ)+トラスツズマブ(商品名ハーセプチン;以下ハーセプチン)+ドセタキセル併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCLEOPATRA試験(NCT00567190)の最終解析の結果がGeorgetown University Medical CenterのSandra M Swain氏らにより公表された。
CLEOPATRA試験とは、未治療のHER2陽性転移性乳がん患者に対してパージェタ+ハーセプチン+ドセタキセル併用療法を投与する群、またはプラセボ+ハーセプチン+ドセタキセル併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)などを比較検証したプラセボ対照二重盲検下の第3相試験である。
本試験の初回解析では、未治療のHER2陽性転移性乳がん患者に対するパージェタ+ハーセプチン+ドセタキセル併用療法はプラセボ療法に比べて無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を統計学的有意に改善することが示されている。
本試験のフォローアップ期間中央値パージェタ群で99.9ヶ月、プラセボ群で98.7ヶ月時点における結果は下記の通りである。副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はパージェタ群57.1ヶ月(95%信頼区間:50‐72ヶ月)に対してプラセボ群40.8ヶ月(95%信頼区間:36‐48ヶ月)、パージェタ群で死亡(OS)のリスクを31%(HR:0.69,95%信頼区間:0.58‐0.82)減少した。また、8年全生存率(OS)はパージェタ群37%(95%信頼区間:31%‐42%)に対してプラセボ群23%(95%信頼区間:19%‐28%)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3~4の有害事象(AE)は好中球減少症でパージェタ群49%に対してプラセボ群46%、治療関連有害事象(TRAE)による死亡率はパージェタ群1%に対してプラセボ群2%を示した。
以上のCLEOPATRA試験の最終解析の結果よりSandra M Swain氏らは以下のように結論を述べている。”未治療のHER2陽性転移性乳がん患者に対する抗HER2ヒト化モノクローナル抗体パージェタ+ハーセプチン+ドセタキセル併用療法は、8年全生存率(OS)37%を示しました。”
Pertuzumab, trastuzumab, and docetaxel for HER2-positive metastatic breast cancer (CLEOPATRA): end-of-study results from a double-blind, randomised, placebo-controlled, phase 3 study(Lancet Oncol. 2020 Mar 12. pii: S1470-2045(19)30863-0. doi: 10.1016/S1470-2045(19)30863-0.)