・レンビマ+キイトルーダ併用療法の有効性・全性を検証
・24週時点の客観的奏効率は38.0%を示した
2020年3月13日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて進行性子宮内膜がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるレンバチニブ(商品名レンビマ;以下レンビマ)+抗PD-1抗体であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験(NCT02501096)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのVicky Makker氏らにより公表された。
本試験は、進行性子宮内膜がん患者に対して3週を1サイクルとして1日1回レンビマ20mg+キイトルーダ200mg併用療法を投与し、主要評価項目として24週時点の客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第1/2相試験である。
本試験が開始された背景として、他の第3相試験にて治療歴のある進行性子宮内膜がん患者に対するレンビマ単剤療法は客観的奏効率(ORR)14.3%、無増悪生存期間(PFS)5.4ヶ月を示している。また、他の基礎試験にてマルチキナーゼ阻害薬であるレンビマ、抗PD-1/PD-L1抗体の併用は抗腫瘍効果が有望である可能性が示唆されている。以上の背景より、進行性子宮内膜がん患者に対する本治療の有用性が検証された。
本試験に登録された124人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は65.3歳。人種は白人87.1%、黒人5.6%、アジア人4.0%。ECOG Performance Statusはスコア0が50.0%、スコア1が50.0%。PD-L1ステータスは陽性48.4%、陰性41.9%、不明9.7%。前治療歴は0レジメンが7.3%、1レジメンが48.4%、2レジメンが34.7%、3レジメン以上が9.7%。
以上の背景を有する患者に対する本試験の治療歴のある患者群108人おける結果は下記の通りである。主要評価項目である24週時点の客観的奏効率(ORR)は38.0%(95%信頼区間:28.8%‐47.8%)、奏効の内訳は完全奏効率(CR)2.8%、部分奏効率(PR)35.2%を示した。
また、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する患者11人における24週時点の客観的奏効率(ORR)は63.6%(95%信頼区間:30.8%‐89.1%)、マイクロサテライト安定性(MSI-S)の患者94人における24週時点の客観的奏効率(ORR)は36.2%(95%信頼区間:26.5%‐46.7%)を示した。
副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は21.2ヶ月(95%信頼区間:7.6ヶ月-未到達)。無増悪生存期間(PFS)中央値は7.4ヶ月(95%信頼区間:5.3‐8.7ヶ月)、全生存期間(OS)16.7ヶ月(95%信頼区間:15.0ヶ月-未到達)。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は97.2%、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は69.4%を示した。20%以上の患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は高血圧、下痢、食欲減退、吐き気、口内炎、関節痛、発生障害、手足症候群、嘔吐、体重減少、蛋白尿、頭痛等であった。また、5%以上の患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は高血圧、疲労、下痢、関節痛、リパーゼ上昇であった。
以上の第1/2相試験の結果よりVicky Makker氏らは以下のように結論を述べている。”治療歴のある進行性子宮内膜がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬レンビマ+抗PD-1抗体キイトルーダ併用療法は、MSIステータスに関係のない客観的奏効率(ORR)を示し、忍容性も問題ありませんでした。”
Lenvatinib Plus Pembrolizumab in Patients With Advanced Endometrial Cancer (J Clin Oncol. 2020 Mar 13:JCO1902627. doi: 10.1200/JCO.19.02627.)