転移性淡明細胞型腎細胞がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ+抗VEGF抗体薬アバスチン、客観的奏効率60.9%を示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2020.03.12
  • [最終更新日]2020.03.06
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転移性淡明細胞型腎細胞がん患者が対象の第1b/2相試験
キイトルーダアバスチン併用療法の有効性安全性を検証
・客観的奏効率は第1b相で41.7%、第2相で60.9%を示した

2020年2月25日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて転移性淡明細胞型腎細胞がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+抗VEGF抗体薬であるベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)併用療法の有効性、安全性を検証した第1b/2相のBTCRC-GU14-003試験(NCT02348008)の結果がHealthPartners Regions Cancer Care CenterのArkadiusz Z. Dudek氏らにより公表された。

本試験は、転移性淡明細胞型腎細胞がん患者に対して3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+アバスチン10~15mg/kg併用療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として全生存期間OS)、無増悪生存期間PFS)などを検証した第1b/2相試験である。

本試験が開始された背景として、抗PD-1抗体薬と抗VEGF抗体薬は併用することで単剤療法よりも抗腫瘍効果が高まる可能性が考えられる。KEYNOTE-427試験によれば、未治療の転移性腎細胞がんに対するキイトルーダ単剤療法の客観的奏効率(ORR)は33.6%を示すが、抗VEGF抗体薬を併用することで更なる抗腫瘍効果が期待されている。以上の背景より、BTCRC-GU14-003試験が開始された。

本試験の第1b相に登録された13人、第2相に登録された48人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は第1b相で55歳(33‐68歳)、第2相で61歳(42‐84歳)。腎切除歴は第1b相であり84.6%、第2相で89.6%。骨転移歴は第1b相であり46.2%、第2相で20.8%。IMDC分類によるリスク分類は第1b相でFavorableが38.5%、Intermediateが23.1%、Poorが38.5%、第2相でFavorableが20.8%、Intermediateが64.6%、Poorが14.6%。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は第1b相で41.7%(95%信頼区間:15.2%‐72.3%)、第2相で60.9%(95%信頼区間:45.4%‐74.9%)を示した。また、奏効の内訳は第1b相で部分奏効(PR)5人、病勢安定SD)6人、第2相で完全奏効(CR)1人、部分奏効(PR)25人、病勢安定(SD)18人であった。

副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は第1b相で9.9ヶ月(95%信頼区間:4.9‐16.7ヶ月)、第2相で20.7ヶ月(95%信頼区間:11.3‐27.4ヶ月)を示した。また、全生存期間(OS)中央値は第1b相で17.9ヶ月(95%信頼区間:6.3ヶ月‐未到達)、第2相で未到達であった。

一方の安全性として、5%以上の患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。高血圧25.0%、蛋白尿10.02%、副腎機能不全6.67%、頭痛5.01%であった。なお、グレード5の治療関連有害事象(TRAE)は1人の患者でも確認されていない。

以上のBTCRC-GU14-003試験の結果よりArkadiusz Z. Dudek氏らは以下のように結論を述べている。”転移性淡明細胞型腎細胞がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ+抗VEGF抗体薬アバスチン併用療法は、忍容性に問題なく、抗腫瘍効果も良好でした。”

Phase Ib/II Clinical Trial of Pembrolizumab With Bevacizumab for Metastatic Renal Cell Carcinoma: BTCRC-GU14-003(J Clin Oncol. 2020 Feb 25:JCO1902394. doi: 10.1200/JCO.19.02394.)

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