・VEGFチロシンキナーゼ阻害薬チボザニブ単剤療法の有効性・安全性を検証
・無増悪生存期間中央値は24週間を示したが、第2相段階へ進行することはできなかった
2020年2月10日、医学誌『British Journal of Cancer』にて切除不能肝細胞がん患者に対する血管内皮細胞増殖因子(VEGF)チロシンキナーゼ阻害薬であるチボザニブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第1b/2相試験(NCT01835223)の結果がMedhavi Gupta Roswell Park Comprehensive Cancer CenterのChristos Fountzilas氏らにより公表された。
本試験は、切除不能肝細胞がん患者(N=27人)に対して28日を1サイクルとして1~21日目に1日1回チボザニブ単剤療法を投与し、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)などを検証した第1b/2相試験である。
本試験が開始された背景として、肝細胞がんは死亡率の高いがんであり、その病勢進行には血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が関わっている。以上の背景より、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)-1/2/3 を選択的に阻害するチボザニブの有用性が本試験にて検証された。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は24週間を示した。また、副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は21%、全生存期間(OS)中央値は9ヶ月を示した。一方の安全性として、忍容性は特に問題なく、第2相試験推奨用量(RPIID)は1日1回チボザニブ1mgとして決定された。
以上の第1b/2相試験の結果よりChristos Fountzilas氏らは以下のように結論を述べている。”本試験は、第2相段階へ進行することはできませんでした。しかしながら、切除不能肝細胞がん患者に対する血管内皮細胞増殖因子(VEGF)チロシンキナーゼ阻害薬チボザニブは早期の抗腫瘍効果を示しております。現在、切除不能肝細胞がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるデュルバルマブ(商品名イミフィンジ)+チボザニブ併用療法の有効性を検証する第1/2相試験が進行中ですので、その結果に期待しております。”
A multicentre phase 1b/2 study of tivozanib in patients with advanced inoperable hepatocellular carcinoma(Br J Cancer. 2020 Feb 10. doi: 10.1038/s41416-020-0737-6. )