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切除不能肝細胞がん患者に対する血管内皮細胞増殖因子チロシンキナーゼ阻害薬チボザニブ、客観的奏効率21%を示す

[公開日] 2020.03.03[最終更新日] 2020.03.03

この記事の3つのポイント ・切除不能肝細胞がん患者が対象の第1b/2相試験
・VEGFチロシンキナーゼ阻害薬チボザニブ単剤療法の有効性・安全性を検証
・無増悪生存期間中央値は24週間を示したが、第2相段階へ進行することはできなかった

2020年2月10日、医学誌『British Journal of Cancer』にて切除不能肝細胞がん患者に対する血管内皮細胞増殖因子(VEGF)チロシンキナーゼ阻害薬であるチボザニブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第1b/2相試験(NCT01835223)の結果がMedhavi Gupta Roswell Park Comprehensive Cancer CenterのChristos Fountzilas氏らにより公表された。

本試験は、切除不能肝細胞がん患者(N=27人)に対して28日を1サイクルとして1~21日目に1日1回チボザニブ単剤療法を投与し、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)などを検証した第1b/2相試験である。

本試験が開始された背景として、肝細胞がんは死亡率の高いがんであり、その病勢進行には血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が関わっている。以上の背景より、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)-1/2/3 を選択的に阻害するチボザニブの有用性が本試験にて検証された。

本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は24週間を示した。また、副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は21%、全生存期間(OS)中央値は9ヶ月を示した。一方の安全性として、忍容性は特に問題なく、第2相試験推奨用量(RPIID)は1日1回チボザニブ1mgとして決定された。

以上の第1b/2相試験の結果よりChristos Fountzilas氏らは以下のように結論を述べている。”本試験は、第2相段階へ進行することはできませんでした。しかしながら、切除不能肝細胞がん患者に対する血管内皮細胞増殖因子(VEGF)チロシンキナーゼ阻害薬チボザニブは早期の抗腫瘍効果を示しております。現在、切除不能肝細胞がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるデュルバルマブ(商品名イミフィンジ)+チボザニブ併用療法の有効性を検証する第1/2相試験が進行中ですので、その結果に期待しております。”

A multicentre phase 1b/2 study of tivozanib in patients with advanced inoperable hepatocellular carcinoma(Br J Cancer. 2020 Feb 10. doi: 10.1038/s41416-020-0737-6. )
ニュース 肝臓がん チボザニブ

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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