・抗PD-1抗体薬キイトルーダ+腫瘍溶解性ウイルスであるIMLYGIC併用療法の有効性・安全性を比較検証
・24週時点における客観的奏効率は30%、全奏効率は35%を示した
2020年1月23日、医学誌「JAMA Oncology」にて局所進行性または転移性肉腫(サルコーマ)患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+腫瘍溶解性ウイルスであるTalimogene Laherparepvec(商品名IMLYGIC;以下IMLYGIC)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT03069378)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのCiara M. Kelly氏らにより公表された。
同試験は、局所進行性または転移性肉腫(サルコーマ)患者(N=20人)に対して21日を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+IMLYGI≤4mL × 108 PFU/mL(導入時106 PFU/mL)併用療法を投与し、主要評価項目として24週時点における客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第2相試験である。
同試験が開始された背景として、肉腫(サルコーマ)は希少疾患であり、現在の治療選択肢では治療成績が良好ではない。例えば、局所進行性または転移性肉腫(サルコーマ)に対するファーストライン治療としてのドセタキセル+ゲムシタビンまたはドキソルビシン併用療法の客観的奏効率(ORR)は20%、二次治療としてのパゾパニブ、トラベクテジンは4~10%程度である。以上の背景より、局所進行性または転移性肉腫(サルコーマ)に対する新たな選択肢の確立が必要であり、同試験が開始された。
同試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は63.5歳(24-90歳)。性別は男性40%(N=8人)、女性60%(N=12人)。ECOG Performance statusはスコア0が45%(N=9人)、スコア1が55%(N=11人)。前治療歴中央値は3レジメン、0レジメンは5%(N=1人)、1~2レジメンは35%(N=7人)、3レジメン以上は60%(N=12人)。
同試験の結果、主要評価項目である24週時点における客観的奏効率(ORR)は30%(95%信頼区間:12%-54%)を示した。なお、全奏効率(ORR)は35%(95%信頼区間:15%-59%)を示した。また、初回奏効までの期間(TTR)中央値は14.4週(95%信頼区間:6.6-31.9週)、奏効持続期間(DOR)中央値は56.1週(95%信頼区間:49.4-87.0週)を示した。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は17.1週(95%信頼区間:12.6週-未到達)、12週無増悪生存率(PFS)は70%(95%信頼区間:52.5%-93.3%)、24週無増悪生存率(PFS)は39.4%(95%信頼区間:22.7%-68.3%)を示した。
一方の安全性として、20%以上の患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。疲労感80%(N=16人)、発熱45%(N=9人)、悪寒45%(N=9人)、悪心30%(N=6人)、貧血25%(N=5人)、嘔吐20%(N=4人)、甲状腺機能低下症20%(N=4人)、掻痒20%(N=4人)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加20%(N=4人)。グレード3の治療関連有害事象(TRAE)発症率20%(N=4人)を示し、その内訳は肺炎5%(N=1人)、貧血5%(N=1人)、発熱5%(N=1人)、低リン血症5%(N=1人)であった。なお、グレード4の治療関連有害事象(TRAE)は1人の患者でも確認されていない。
以上の第2相試験の結果よりCiara M. Kelly氏らは以下のように結論を述べている。”局所進行性または転移性肉腫(サルコーマ)患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ+腫瘍溶解性ウイルスIMLYGIC併用療法は、臨床的意義のある抗腫瘍効果を示し、忍容性も問題ありませんでした。”
Objective Response Rate Among Patients With Locally Advanced or Metastatic Sarcoma Treated With Talimogene Laherparepvec in Combination With Pembrolizumab(J Clin Oncol 38, 2020 (JAMA Oncol. Published online January 23, 2020. doi:10.1001/jamaoncol.2019.6152)