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フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ芽球性白血病の小児に対するスプリセル、無イベント生存期間を有意に改善

[公開日] 2020.01.30[最終更新日] 2020.01.30

この記事の3つのポイント ・フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ芽球性白血病の小児患者が対象の第3相試験
・スプリセルまたはグリベック単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・4年無イベント生存率はスプリセル群71.0%、グリベック群48.9%だった

2020年1月16日、医学誌『JAMA Oncology』にてフィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ芽球性白血病の小児に対するABLチロシンキナーゼ阻害薬であるダサチニブ(商品名スプリセル;以下スプリセル)、イマチニブ(商品名グリベック;以下グリベック)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験(ChiCTR-IPR-14005706)の結果がNational Children’s Medical CenterのShuhong Shen氏らにより公表された。

本試験は、フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ芽球性白血病の小児(N=189人)に対してスプリセル単剤療法を投与する群(N=92人)、またはグリベック単剤療法を投与する群(N=97人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無イベント生存期間(EFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、再発率などを比較検証した第3相試験である。

本試験が開始された背景として、急性リンパ芽球性白血病の小児におけるフィラデルフィア染色体陽性率は3~4%程度である。フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ芽球性白血病の小児は5年無イベント生存率(EFS)が28%~32%であり、予後不良である。

本患者に対するグリベック単剤療法により5年無イベント生存率(EFS)は57%まで改善するが、多くの患者は放射線療法を必要としており、かつグリベックに対して抵抗性が生じる。以上の背景より、第2世代ABLチロシンキナーゼ阻害薬であるスプリセルの有用性が本試験で検証された。

本試験の結果、主要評価項目である4年無イベント生存率(EFS)はスプリセル群71.0%(95%信頼区間:56.2%-89.6%)に対してグリベック群48.9%(95%信頼区間:32.0%-74.5%)、スプリセル群で4年無イベント生存率(EFS)を統計学有意に改善した(P=0.005)。

副次評価項目である4年全生存率(OS)はスプリセル群88.4%(95%信頼区間:81.3%-96.1%)に対してグリベック群69.2%(95%信頼区間:55.6%-86.2%)、スプリセル群で4年全生存率(OS)を統計学有意に改善した(P=0.04)。

4年再発率はスプリセル群19.8%(95%信頼区間:4.2%-35.4%)に対してグリベック群34.4%(95%信頼区間:15.6%-53.2%)、スプリセル群で4年再発率は統計学有意に低率であった(P=0.01)。

また、4年中枢神経再発率はスプリセル群2.7%(95%信頼区間:0.0%-8.1%)に対してグリベック群8.4%(95%信頼区間:1.2%-15.6%)、スプリセル群で4年中枢神経再発率は低率であった(P=0.06)。

以上の第3相試験の結果よりShuhong Shen氏らは以下のように結論を述べている。”フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ芽球性白血病の小児に対するABLチロシンキナーゼ阻害薬スプリセルは、無イベント生存期間(EFS)、全生存期間(OS)、再発率を改善しました。”

Effect of Dasatinib vs Imatinib in the Treatment of Pediatric Philadelphia Chromosome–Positive Acute Lymphoblastic Leukemia(JAMA Oncol. 2020 Jan 16. doi: 10.1001/jamaoncol.2019.5868.)
ニュース 白血病 フィラデルフィア染色体

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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