・JAK阻害薬ジャカビ単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・客観的奏効率32%を示し、忍容性も問題なかった
2019年12月27日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて慢性好中球性白血病(CNL)または非定型慢性骨髄性白血病(aCML)患者に対するJAK阻害薬であるルキソリチニブ(商品名ジャカビ;以下ジャカビ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験(NCT02092324)の結果がOregon Health & Science UniversityのKim-Hien T. Dao氏らにより公表された。
本試験は、慢性好中球性白血病(CNL)または非定型慢性骨髄性白血病 (aCML)患者(N=44人,CNL21人、aCML23人)に対してジャカビ単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR,完全奏効率+部分奏効率)、副次評価項目としてグレード3以上の有害事象(AE)などを検証した第2相試験である。
本試験が実施された背景として、慢性好中球性白血病(CNL)または非定型慢性骨髄性白血病(aCML)は治療選択肢の限られる疾患であり、平均予後は2年程度であるため新たな治療選択肢の開発が必要とされている。以上の背景より、基礎試験で有用性が確認されているJAK阻害薬ジャカビの有効性、安全性の検証が本試験にて実施された。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は72.9歳(43.1‐92.3歳)。性別は男性59.1%、女性40.9%。CSF3R遺伝子ステータスは野生型50%。前治療歴ステータスはあり61.4%、なし38.6%。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。初回登録された25人の患者における客観的奏効率(ORR)は32%、部分奏効率(PR)を達成した患者は慢性好中球性白血病(CNL)で7人、非定型慢性骨髄性白血病(aCML)で1人であった。
副次評価項目であるグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は貧血34%、血小板減少症14%を示した。なお、ジャカビによる重篤な有害事象(SAE)は1人の患者でも確認されず、患者が死亡に至った主な原因は病勢進行(PD)によるものであった。
以上の第2相試験の結果よりKim-Hien T. Dao氏らは以下のように結論を述べている。”慢性好中球性白血病(CNL)または非定型慢性骨髄性白血病 (aCML)患者に対するJAK阻害薬ジャカビ単剤療法は、客観的奏効率(ORR)32%を示し、忍容性も問題ありませんでした。”
Efficacy of Ruxolitinib in Patients With Chronic Neutrophilic Leukemia and Atypical Chronic Myeloid Leukemia(J Clin Oncol. 2019 Dec 27:JCO1900895. doi: 10.1200/JCO.19.00895.)