・ベネクレクスタ+ベルケイド+デキサメタゾン併用療法の有効性・安全性を比較検証
・プラセボ群と比較して、t(11;14)転座を有する患者の病勢進行または死亡のリスクを90%有意に改善
2019年12月7日より10日まで米国フロリダ州オーランドで開催された第61回米国血液学会(ASH2019)にて、治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対する経口BCL-2阻害薬ベネトクラクス(商品名ベネクレクスタ;以下ベネクレクスタ)+ボルテゾミブ(商品名ベルケイド;以下ベルケイド)+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のBellini試験(NCT02755597)のサブグループ解析の結果がPeter MacCallum Cancer CentreのSimon Harrison氏らにより公表された。
Bellini試験とは、治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者(N=291人)に対してベネクレクスタ+ベルケイド+デキサメタゾン併用療法を投与する群、またはプラセボ+ベルケイド+デキサメタゾン併用療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを比較検証した多施設共同二重盲検下の第3相試験である。
本試験のサブグループ解析が実施された背景として、本試験のベネクレクスタ+ベルケイド+デキサメタゾン併用療法は、プラセボ+ベルケイド+デキサメタゾン併用療法に比べて無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)を統計学有意に改善することが示されたが、全生存期間(OS)はプラセボ群に優位な結果であった。以上の背景より、多発性骨髄腫の予後に関係する抗アポトーシスタンパク質Bcl-2の発現率、染色体異常ステータス別の無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)のサブグループ解析が実施された。
本試験の結果、 主要評価項目であるt(11;14)転座を有する患者(N=35人)における無増悪生存期間(PFS)はプラセボ群に比べてベネクレクスタ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを90%(HR=0.10; 95% CI: 0.02-0.46, p=0.003)統計学有意に改善した。また、Bcl-2高発現の患者群(N=98人)における無増悪生存期間(PFS)はプラセボ群に比べてベネクレクスタ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを74%(HR=0.26; 95% CI: 0.13-0.51, p<0.001)統計学有意に改善した。
副次評価項目であるt(11;14)転座を有する患者(N=35人)における客観的奏効率(ORR)はベネクレクスタ群95%に対してプラセボ群47%、Bcl-2高発現の患者群(N=98人)における客観的奏効率(ORR)はベネクレクスタ群88%に対してプラセボ群75%を示した。一方、t(11;14)転座を有する患者(N=35人)における全生存期間(OS)はプラセボ群に比べてベネクレクスタ群で死亡(OS)のリスクを35%(HR=0.65; 95% CI: 0.13-3.25)改善した。また、Bcl-2高発現の患者群(N=98人)における全生存期間(OS)はプラセボ群に比べてベネクレクスタ群で死亡(OS)のリスクを14%(HR=0.86; 95% CI: 0.35-2.14)改善した。
以上のBellini試験のサブグループ解析の結果よりSimon Harrison氏らは以下のように結論を述べている。”治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対する経口BCL-2阻害薬ベネクレクスタ+ベルケイド+デキサメタゾン併用療法は、t(11;14)転座を有する患者またはBcl-2高発現の患者に対して特に良好な抗腫瘍効果を示しました。”
T(11;14) and High BCL2 Expression Are Predictive Biomarkers of Response to Venetoclax in Combination with Bortezomib and Dexamethasone in Patients with Relapsed/Refractory Multiple Myeloma: Biomarker Analyses from the Phase 3 Bellini Study(ASH2019,abstract142)