進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としてのオプジーボ+ヤーボイ、PD-L1発現ステータスに関係なく化学療法に比べて全生存期間を改善The New England Journal of Medicineより


  • [公開日]2019.12.03
  • [最終更新日]2019.11.29
この記事の3つのポイント
PD-L1発現率1%以上の進行性非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
ファーストライン治療としてのオプジーボヤーボイ併用療法の有効性安全性を比較検証
・PD-L1の発現ステータスに関係なく、化学療法に比べて全生存期間を改善

2019年11月21日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)+抗CTLA-4抗体薬であるイピリムマブ(商品名ヤーボイ;以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCheckMate227試験(NCT02477826)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのMatthew D. Hellmann氏らにより公表された。

CheckMate227試験とは、PD-L1発現率1%以上の進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療として2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg+6週を1サイクルとしてヤーボイ1mg/kg併用療法を投与する群、または2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg単剤療法を投与する群、または3週を1サイクルとして化学療法を最大4サイクル投与する群に1対1対1の割合で振り分け(Part1a)、PD-L1発現率1%未満の進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療として2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg+6週を1サイクルとしてヤーボイ1mg/kg併用療法を投与する群、または3週を1サイクルとしてオプジーボ360mg+化学療法(最大4サイクルまで)を投与する群、または3週を1サイクルとして化学療法を最大4サイクル投与する群に1対1対1の割合で振り分け(Part1b)、主要評価項目としてPD-L1発現率1%以上の患者群における化学療法群に対するオプジーボ+ヤーボイ併用療法の全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率ORR)などを比較検証した第3相試験である。

本試験に登録されたオプジーボ+ヤーボイ併用群、化学療法群のそれぞれの患者背景は下記の通りである。年齢中央値は64歳(26-87歳)に対して64歳(29-87歳)。性別は男性67.4%、女性32.6%に対して男性66.0%、女性34.0%。ECOG Performance Statusはスコア0が35.0%、スコア1が64.7%に対してスコア0が32.8%、スコア1が66.2%。

肺がんの組織型は扁平上皮が28.0%、非扁平上皮が71.9%に対して扁平上皮が27.8%、非扁平上皮が72.2%。PD-L1発現率は1%未満32.1%、1%以上67.9%に対して1%未満31.9%、1%以上68.1%。測定可能であった患者群における遺伝子変異量(TMB)は10mut/Mb以上が42.1%、10mut/Mb未満が57.9%に対して10mut/Mb以上が45.8%、10mut/Mb未満が54.2%。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。PD-L1発現率1%以上の患者群(Part1a)における主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はオプジーボ+ヤーボイ併用群17.1ヵ月(95%信頼区間:15.0-20.1ヵ月)に対して化学療法群14.9ヵ月(95%信頼区間:12.7-16.7ヵ月)、オプジーボ+ヤーボイ併用群で全生存期間(OS)を改善した(P=0.007)。なお、1年全生存率(OS)、2年全生存率(OS)はそれぞれオプジーボ+ヤーボイ併用群62.6%、40.0%に対して化学療法群56.2%、32.8%を示した。PD-L1発現率1%以上の患者群(Part1a)における副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はオプジーボ+ヤーボイ併用群35.9%(95%信頼区間:31.1%-40.8%)に対して化学療法群30.0%(95%信頼区間:25.5%-34.7%)を示した。

また、PD-L1発現率1%未満の患者群(Part1b)における主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はオプジーボ+ヤーボイ併用群17.2ヵ月(95%信頼区間:12.8-22.0ヵ月)に対して化学療法群12.2ヵ月(95%信頼区間:9.2-14.3ヵ月)、オプジーボ+ヤーボイ併用群で全生存期間(OS)を改善した。なお、2年全生存率(OS)はオプジーボ+ヤーボイ併用群40.4%、40.0%に対して化学療法群23.0%を示した。

一方の安全性として、全患者群(Part1a、Part1b)における全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ+ヤーボイ併用群76.7%に対して化学療法群81.9%を示した。なお、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)はオプジーボ+ヤーボイ併用群で下痢17.0%、皮膚障害17.0%、疲労14.4%、食欲減退13.2%、化学療法群で吐き気36.1%、貧血33.0%、食欲減退19.6%、疲労18.9%、好中球減少症17.2%であった。

また、全グレードの重篤な治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ+ヤーボイ併用群24.5%に対して化学療法群13.9%、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)により治療中止率はオプジーボ+ヤーボイ併用群18.1%に対して化学療法群9.1%、治療関連有害事象(TRAE)による死亡率はオプジーボ+ヤーボイ併用群1.4%に対して化学療法群1.1%を示した。

以上のCheckMate227試験の結果よりMatthew D. Hellmann氏らは以下のように結論を述べている。”進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法は、PD-L1発現ステータスに関係なく化学療法に比べて全生存期間(OS)を改善しました。”

Nivolumab plus Ipilimumab in Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer(N Engl J Med. 2019 Nov 21;381(21):2020-2031. doi: 10.1056/NEJMoa1910231.)

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