・オプジーボ単剤療法の有効性・安全性を検証
・化学療法に比べて全生存期間を統計学的有意に改善し、忍容性も良好
2019年9月30日、ブリストル・マイヤーズスクイブ社はフルオロピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む併用療法に不応または不耐となった切除不能進行/再発食道がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のATTRACTION-3試験(NCT02569242)(ONO-4538-24/CA209-473)の結果が公表された。
ATTRACTION-3試験とは、フルオロピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む併用療法に不応または不耐となった切除不能進行/再発食道がん患者に対してオプジーボ単剤療法を投与する群、または化学療法(ドセタキセルもしくはパクリタキセル)を投与する群に分け、主要評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した多施設国際共同無作為化非盲検の第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はオプジーボ群10.9ヶ月(95%信頼区間:9.2-13.3ヶ月)に対して化学療法群8.4ヶ月(95%信頼区間:7.2-9.9ヶ月)、オプジーボ群で死亡(OS)のリスクを23%統計学的有意に減少(HR:0.77,95%信頼区間:0.62-0.96,P=0.019)した。
また、12ヶ月全生存率(OS)はオプジーボ群47%(95%信頼区間:40%-54%)に対して化学療法群31%(95%信頼区間:24%-37%)、18ヶ月全生存率(OS)はオプジーボ群31%(95%信頼区間:24%-37%)に対して化学療法群21%(95%信頼区間:15%-27%)を示した。なお、オプジーボにより全生存期間(OS)改善効果は、PD-L1発現率に関係なく確認された。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はオプジーボ群19%(95%信頼区間:14%-26%)に対して化学療法群22%(95%信頼区間:15%-29%)であるものの、奏効持続期間(DOR)中央値はオプジーボ群6.9ヶ月(95%信頼区間:5.4-11.1ヶ月)に対して化学療法群3.9ヶ月(95%信頼区間:2.8-4.2ヶ月)を示した。また、無増悪生存期間(PFS)においては化学療法群に比べてオプジーボ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを8%(HR:1.08,95%信頼区間:0.87-1.34)増加したものの、臨床的意義の差は確認されなかった。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ群66%に対して化学療法群95%、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ群18%に対して化学療法群63%を示し、化学療法群に比べてオプジーボ群で治療関連有害事象(TRAE)発症率は低率であった。
以上のATTRACTION-3試験の結果より、Yonsei Cancer Center・Byoung Chul Cho氏らは以下のように結論を述べている。”治療歴のある切除不能進行/再発食道がん患者に対する抗PD-1抗体薬オプジーボ単剤療法は、化学療法に比べて全生存期間(OS)を統計学的有意に改善し、忍容性も良好でした。以上の結果より、オプジーボ単剤療法は切除不能進行/再発食道がん患者の二次治療になり得る可能性が示唆されました。”
参照元:ブリストル・マイヤーズスクイブ社 プレスリリース