・サイラムザ+タルセバ併用療法の有効性・安全性を検証
・無増悪生存期間を統計学的有意に改善し、忍容性も問題なし
2019年10月4日、医学誌『The Lancet Onoclogy』にて未治療のEGFR陽性進行性非小細胞肺がん患者に対する抗VEGFR抗体であるラムシルマブ(商品名サイラムザ;以下サイラムザ)+EGRRチロシンキナーゼ阻害薬であるエルロチニブ(商品名タルセバ;以下タルセバ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のRELAY試験(NCT02411448)の結果が近畿大学医学部・中川 和彦氏らにより公表された。
RELAY試験とは、未治療のEGFR陽性進行性非小細胞肺がん患者(N=449人)に対して2週を1サイクルとしてサイラムザ10mg/kg+1日1回タルセバ150mg併用療法を投与する群(N=224人)、または2週を1サイクルとしてプラセボ+1日1回タルセバ150mg併用療法を投与する群(N=225人)に1対1の割合で不作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、安全性、副次評価項目として全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)などを比較検証した国際多施設共同二重盲検下の第3相試験である。
本試験が実施された背景として、EGFR陽性進行性非小細胞肺がんにおいてVEGF経路、EGFR経路を阻害することは基礎でも臨床でも意義のある有効性が確認されている。以上の背景より、EGFR陽性進行性非小細胞肺がん患者に対して抗VEGFR抗体、EGRRチロシンキナーゼ阻害薬を併用することによる臨床的意義のある効果を検証する目的でRELAY試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値20.7ヶ月(15.8-27.2ヶ月)時点における結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はサイラムザ群19.4ヶ月(95%信頼区間:15.4-21.6ヶ月)に対してプラセボ群12.4ヶ月(95%信頼区間:11.0-13.5ヶ月)、病勢進行または死亡(PFS)のリスクを41%(95%信頼区間:0.46-0.76,P<0.0001)統計学的有意に改善した。
また、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はサイラムザ群72%(N=159人)に対してプラセボ群54%(N=121人)を示し、最も多くの患者で確認されたグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。サイラムザ群では高血圧24%(N=52人)、皮膚炎15%(N=30人)、プラセボ群では皮膚炎9%(N=20人)、ALT増加8%(N=17人)であった。
重篤な治療関連有害事象(SAE)発症率はサイラムザ群29%(N=65人)に対してプラセボ群21%(N=47人)を示し、最も多くの患者で確認された重篤な治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。サイラムザ群では肺炎3%(N=7人)、蜂巣炎2%(N=4人)、気胸2%(N=4人)、プラセボ群では発熱1%(N=3人)、肺炎1%(N=3人)であった。
以上のRELAY試験の結果より中川 和彦氏らは以下のように結論を述べている。”未治療のEGFR陽性進行性非小細胞肺がん患者に対する抗VEGFR抗体サイラムザ+EGRRチロシンキナーゼ阻害薬タルセバ併用療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善し、忍容性も問題ありませんでした。”
Ramucirumab plus erlotinib in patients with untreated, EGFR-mutated, advanced non-small-cell lung cancer (RELAY): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial(Lancet Oncol. 2019 Oct 04. pii: S1470-2045(19)30634-5. doi: 10.1016/S1470-2045(19)30634-5.)