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進行性転移性胸腺がん患者に対するレンビマ単剤療法、主要評価項目である客観的奏効率38.1%を達成する

[公開日] 2019.10.30[最終更新日] 2019.10.30

この記事の3つのポイント ・進行性転移性胸腺がん患者が対象の第2相試験
・レンビマ単剤療法の有効性・安全性を検証
・主要評価項目である客観的奏効率は38.1%を達成し、忍容性も良好

2019年9月27日より10月1日まで、スペイン/バルセロナで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2019)にて、進行性または転移性胸腺がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるレンバチニブ(商品名レンビマ;以下レンビマ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のREMORA試験(JMA-IIA00285)(UMIN000026777)の結果が兵庫県立がんセンターの伊藤 彰一氏らにより公表された。

本試験は、進行性または転移性胸腺がん患者(N=42人)に対して1日1回レンビマ24mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)発現するまで投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として病勢制御割合(DCR)を検証した国内で実施された多施設共同の第2相試験である。

本試験が実施された背景として、胸腺がん患者に対する標準治療はプラチナ系抗がん剤であるが、本治療に病勢進行を示した患者に対するその後の標準は現在のところ存在しない。そのため、複数のがん種に対して有用性が確認されている、マルチキナーゼ阻害薬であるレンビマ単剤療法の有効性、安全性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験のフォローアップ期間中央値15.5ヶ月時点における結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は38.1%(90%信頼区間:25.6%-52.0%)、試験開始前に事前設定した達成基準を超え、主要評価項目を達成した。なお、奏効の内訳としては16人の患者で部分奏効(PR)、24人の患者で病勢安定(SD)を示した。

副次評価項目である病勢制御割合(DCR)は95.2%(83.8%-99.4%)、奏効持続期間(DOR)中央値は11.6ヶ月(95%信頼区間:5.8-18.0ヶ月)を示した。一方の安全性として、多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は高血圧、下痢、手足症候群、タンパク尿、甲状腺機能低下症、血小板数減少であった。

以上の第2相のREMORA試験の結果より、伊藤 彰一氏らは以下のように結論を述べている。”進行性または転移性胸腺がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるレンビマ単剤療法は、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)を達成し、忍容性も良好であることが本試験より証明されました。以上の結果より、レンビマ単剤療法は進行性または転移性胸腺がんの標準治療の選択肢になり得る可能性が示唆されました。”

Lenvatinib Provides Encouraging Responses in Advanced or Metastatic Thymic Carcinoma[ESMO 2019 Oncology News]
ニュース UMIN000026777

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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