未治療の進行性肝細胞がん患者に対するファーストライン治療としてのオプジーボ、ネクサバールに比べて全生存期間を改善するも有意差は確認されず欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2019)より


  • [公開日]2019.10.29
  • [最終更新日]2019.10.31
この記事の3つのポイント
・未治療の進行性肝細胞がん患者が対象の第3相試験
ファーストライン治療としてのオプジーボ単剤療法とネクサバール単剤療法の有効性を比較検証
・オプジーボは全生存期間を改善したが統計学的有意な差は確認されなかった一方、高い完全奏効率を示した

2019年9月27日より10月1日まで、スペイン/バルセロナで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2019)にて、未治療の進行性肝細胞がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)単剤療法、ソラフェニブ(商品名ネクサバール;以下ネクサバール)単剤療法の有効性を比較検証した第3相のCheckMate 459試験(NCT02576509)の結果がThe University of Hong Kong in PokfulamのThomas Yau氏らにより発表された。

CheckMate 459試験とは、未治療の進行性肝細胞がん患者(N=743人)に対して2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg単剤療法を投与する群(N=371人)、または1日2回ネクサバール400mg単剤療法を投与する群(N=372人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、客観的奏効率(ORR)などを比較検証した多施設共同ランダム化比較の第3相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値22.8ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はオプジーボ群16.4ヶ月に対してネクサバール群14.7ヶ月、オプジーボ群で死亡(OS)のリスクを軽減するも統計学的有意な差は確認されなかった(P=0.0752)。また、12ヶ月全生存率(OS)はオプジーボ群59.7%(95%信頼区間:54.4%–64.6%)に対してネクサバール群55.1%(95%信頼区間:49.8%–60.1%)、24ヶ月全生存率(OS)はオプジーボ群36.8%(95%信頼区間:31.8%–41.8%)に対してネクサバール群33.1%(95%信頼区間:28.328.3–38.0–38.0%)を示した。

副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はオプジーボ群3.7ヶ月(95%信頼区間:3.1-3.9ヶ月)に対してネクサバール群3.8ヶ月(95%信頼区間:3.7-4.5ヶ月)を示した。また、もう1つの副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はオプジーボ群14%(N=57人)に対してネクサバール群7%(N=26人)を示し、その奏効の内訳はオプジーボ群で完全奏効率(CR)4%(N=14人)、部分奏効率(PR)12%(N=43人)、ネクサバール群で完全奏効率(CR)1%(N=5人)、部分奏効率(PR)6%(N=21人)であった。

また、PD-L1発現率別の客観的奏効率(ORR)も検証しており、PD-L1発現率1%未満の患者群における客観的奏効率(ORR)はオプジーボ群12%(N=36人)に対してネクサバール群7%(N=20人)、PD-L1発現率1%以上の患者群における客観的奏効率(ORR)はオプジーボ群28%(N=20人)に対してネクサバール群9%(N=6人)を示し、オプジーボ群ではPD-L1発現率が高い患者で良好な客観的奏効率(ORR)が確認された。

一方の安全性として、オプジーボ群で本試験で新たに確認された治療関連有害事象(TRAE)はなかった。また、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ群22%(N=81人)に対してネクサバール群49%(N=179人)、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率はオプジーボ群4%(N=16人)に対してネクサバール群8%(N=29人)であった。

CheckMate 459試験の結果よりThomas Yau氏らは以下のように結論を述べている。”本試験の主要評価である全生存期間(OS)は両群間で統計学的な有意な差は確認されませんでした。しかしながら、進行性肝細胞がん患者に対するファースライン治療の標準治療であるネクサバール単剤療法では全ての患者のアンメッドメディカルニーズを満たすことができていないのが現状です。本試験により、オプジーボ単剤療法は全生存期間(OS)を改善する以外にも高い完全奏効率(CR)を示すなど、進行性肝細胞がん患者にとって最適な治療選択肢になり得るでしょう。”

Nivolumab Challenges Sorafenib as First-line Treatment in Advanced HCC[ESMO 2019 Oncology news]

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