再発難治性頭頸部扁平上皮がんアジア人患者に対するジオトリフ、無増悪生存期間を統計学的有意に改善するAnnals of Oncologyより


  • [公開日]2019.10.03
  • [最終更新日]2019.10.02
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再発難治性頭頸部扁平上皮がんアジア人患者を対象とした第3相試験
ジオトリフ単剤療法の有効性安全性を検証
メトトレキサートと比較して、病勢進行または死亡のリスクを37%統計学的有意に改善

2019年9月10日、医学誌『Annals of Oncology』にて再発難治性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)アジア人患者に対する第2世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるアファチニブ(商品名ジオトリフ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のLUX-Head & Neck 3試験(NCT01856478)の結果がShanghai East HospitalのY Guo氏らにより公表された。

LUX-Head & Neck 3試験とは、ファーストライン治療としてプラチナ系ベースの抗がん剤の投与を受けた再発難治性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)アジア人患者(N=340人)に対して1日1回ジオトリフ40mg単剤療法を投与する群(N=228人)、または1週を1サイクルとしてメトトレキサート40mg/m2単剤療法を投与する群(N=112人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)を比較検証したオープンラベルランダム化の第3相試験である。

本試験が実施された背景は、ファーストライン治療としてのプラチナ系ベースの抗がん剤治療後に病勢進行した頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)における治療選択肢が限られているためである。特に、アジア人患者における本疾患の治療選択肢は限られるため、第2世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるジオトリフ単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験のフォローアップ期間中央値6.4ヶ月時点に結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はジオトリフ群2.9ヶ月に対してメトトレキサート群2.6ヶ月、ジオトリフ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを37%統計学的有意に改善した(HR:0.63,95%信頼区間:0.48-0.82,P=0.0005)。また、副次評価項目である客観的奏効率ORR)はジオトリフ群28%に対してメトトレキサート群13%を示した。なお、全生存期間OS)においては両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。皮膚障害はジオトリフ群4%に対してメトトレキサート群0%、下痢はジオトリフ群4%に対してメトトレキサート群0%、疲労はジオトリフ群1%に対してメトトレキサート群5%、貧血はジオトリフ群1%未満に対してメトトレキサート群5%、リンパ球減少症はジオトリフ群0%に対してメトトレキサート群5%であった。

以上のLUX-Head & Neck 3試験の結果よりY Guo氏らは以下のように結論を述べている。”再発難治性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)アジア人患者に対する第2世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるジオトリフ単剤療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善し、忍容性も良好でした。”

Afatinib versus methotrexate as second-line treatment in Asian patients with recurrent or metastatic squamous cell carcinoma of the head and neck progressing on or after platinum-based therapy (LUX-Head & Neck 3): an open-label, randomised phase III trial.(Ann Oncol. 2019 September 10. mdz388. doi: 10.1093/annonc/mdz388.)

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