複数治療歴のあるRET融合遺伝子陽性非小細胞肺がん患者に対するSelpercatinib単剤療法、客観的奏効率68%を示す


  • [公開日]2019.09.25
  • [最終更新日]2019.09.25
この記事の3つのポイント
・複数治療歴のあるRET融合遺伝子陽性非小細胞肺がん患者が対象の第1/2相試験
・Selpercatinib単剤療法有効性安全性を検証
・客観的奏効率は68%であり、持続的な奏効、かつ中枢神経系転移を有する患者に対しても有効性を示した

2019年9月9日、イーライリリー社のプレスリリースにて複数治療歴のあるRET融合遺伝子陽性非小細胞肺がん患者に対する経口選択的RET阻害薬であるSelpercatinib(LOXO-292)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1/2相のThe LIBRETTO-001試験(NCT03157128)の結果が公表された。

The LIBRETTO-001試験とは、複数治療歴のあるRET融合遺伝子陽性非小細胞肺がん患者に対してSelpercatinib(LOXO-292)単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間PFS)、安全性などを検証した第1/2相試験である。

本試験のデータカットオフ値2019年6月17時点、有効性が評価可能であった105人の患者における結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は68%(95%信頼区間:58-76%)を示した。なお、患者背景として前治療歴レジメン中央値3レジメン、前治療歴の種類として抗PD-1/PD-L1抗体薬治療歴55%、マルチキナーゼ阻害薬治療歴48%であるにも関わらず、前治療歴に関係のない客観的奏効率(ORR)を示した。

未治療のRET融合遺伝子陽性非小細胞肺がん患者群(N=34人)に対する結果は、客観的奏効率(ORR)は85%(95%信頼区間:69-95%)、奏効持続期間(DOR)中央値、無増悪生存期間(PFS)中央値ともに未到達を示した。

また、RET融合遺伝子陽性非小細胞肺がん患者の最大50%が脳転移を進展させる可能性が示唆されているが、Selpercatinib(LOXO-292)単剤療法は中枢神経系(CNS)に転移を有するRET融合遺伝子陽性非小細胞肺がん患者に対して客観的奏効率(ORR)は91%(95%信頼区間:59-100%)を示した。副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は20.3ヶ月(95%信頼区間:13.8-24.0ヶ月)、無増悪生存期間(PFS)中央値は18.4ヶ月(95%信頼区間:12.9-24.9ヶ月)を示した。

一方の安全性として、安全性が評価可能であった531人の患者における治療関連有害事象(TRAE)を原因とした治療中止率は1.7%(N=9人)であり、Selpercatinib(LOXO-292)単剤療法の忍容性が確認された。なお、最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は口渇、下痢、高血圧、肝臓系酵素の上昇、疲労、便秘、頭痛であった。

The LIBRETTO-001試験の結果より、本試験の治験代表医師であるMemorial Sloan Kettering Cancer Center in New York CityのAlexander Drilon氏は下記のように述べている。”RET融合遺伝子陽性非小細胞肺がん患者に対するSelpercatinib(LOXO-292)単剤療法は、治療歴のステータスに関係なく持続的な奏効、かつ中枢神経系(CNS)転移を有する患者に対しても有効性を示しました。また、忍容性も良好であり、我々はRET融合遺伝子を標的にしたテーラメイド治療の可能性への期待を高めることになりました。”

参照:Eli Lilly and Company INVESTORS

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