抗PD-L1抗体テセントリク、進展型小細胞肺がんに対する
適応拡大


  • [公開日]2019.08.24
  • [最終更新日]2019.08.24
この記事の2つのポイント
・今回の適応拡大で、テセントリクは進展型小細胞肺がんに対して国内で初めて承認されたがん免疫療法
・進展型小細胞肺がん患者に対する薬物治療としては、17年ぶりとなる新たな選択肢

2019年8月22日、中外製薬株式会社は、改変型抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体テセンアテゾリズマブ遺伝子組換え)(商品名:テセントリク(R)点滴静注1200mg)(以下、テセントリク)に関して、「進展型小細胞肺がん」に対する適応拡大について、厚生労働省より承認を取得したことを発表した。

今回の承認は、国際共同第1/3相臨床試験(IMpower133試験)の成績に基づいている。IMpower133試験では、テセントリクと化学療法カルボプラチン及びエトポシド)の併用は、ITT(Intent to treat)解析集団において、化学療法単独に比べ主要評価項目である全生存期間の延長を示すとともに(OS中央値:12.3ケ月 vs 10.3ケ月、ハザード比:0.70、95%信頼区間:0.54-0.91、p=0.0069)、同じく主要評価項目である無増悪生存期間PFS)の延長を示した(PFS中央値:5.2ケ月 vs 4.3ケ月、ハザード比:0.77、95%信頼区間:0.62-0.96、p=0.017)。テセントリクと化学療法の併用療法による安全性プロファイルは、これまで各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、本併用療法で新たな安全性のシグナルは確認されなかった。

【参考情報】 中外製薬株式会社ニュースリリース(2018年10月25日発表)
テセントリクと化学療法の併用による一次治療は化学療法単独に比べ、進展型小細胞肺がん患者さんの生存期間の延長を示す

なお、適応拡大後の添付文書情報は以下の通り。

効能・効果 (*箇所が新たに追加された項目)
・切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
・進展型小細胞肺がん*

用法・用量

・化学療法未治療の扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者の場合
カルボプラチン、パクリタキセル及びベバシズマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回1200mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。

・化学療法既治療の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者の場合
通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回1200mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。

・進展型小細胞肺がん患者の場合*
カルボプラチン及びエトポシドとの併用において、通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回1200mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。

テセントリクの国内承認申請状況について
2018年4月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果として販売を開始し、同年12月に「化学療法未治療の扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に対する用法・用量の追加について承認を取得している。現在、乳がんに対する適応拡大を申請中。

参照元:中外製薬株式会社ニュースリリース

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン