治療歴のある局所進行性または転移性尿路上皮がん患者に対するエンホルツマブ ベドチン、客観的効率44%を示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2019.08.16
  • [最終更新日]2019.08.16
この記事の3つのポイント
・局所進行性または転移性尿路上皮がん患者が対象の第2相試験
・ネクチン-4を標的とするエンホルツマブ ベドチン単剤療法の有効性安全性を検証
・客観的奏効率は44%を示し、完全奏効率は12%だった

2019年7月29日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、白金製剤による化学療法および免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体薬または抗PD-L1抗体薬による治療歴のある局所進行性または転移性尿路上皮がん患者に対するネクチン-4を標的とする抗体-薬物複合体であるエンホルツマブ ベドチン単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のEV-201試験(NCT03219333)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのJonathan E. Rosenberg氏らにより公表された。

EV-201試験とは、白金製剤による化学療法および免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体薬または抗PD-L1抗体薬による治療歴のある局局所進行性または転移性尿路上皮がん患者(N=125人)に対して28日を1サイクルとして1,8,15日目にエンホルツマブ ベドチン1.25mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目として独立評価委員会による客観的奏効率(ORR)、重要な副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、奏効持続期間(DOR)、全生存期間OS)などを検証したの単群オープンラベルの第2相試験である。

本試験が実施された背景として、尿路上皮がんを含み固形がんにはネクチン-4というタンパクが高発現している。そのため、ネクチン-4を標的とする抗体-薬物複合体であるエンホルツマブ ベドチンは抗腫瘍効果が期待されている。第1相試験にて、転移性尿路上皮がん患者に対するエンホルツマブ ベドチンは忍容性が問題ないことが確認されている。以上の背景より、治療歴のある局局所進行性または転移性尿路上皮がん患者に対してエンホルツマブ ベドチン単剤療法の有用性を確認する目的が本試験が開始された。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。

年齢中央値
69歳(40-84歳)

性別
男性=70%(N=88人)

年齢
75歳未満=73%(N=91人)
75歳以上=27%(N=34人)

ECOG Performance Status
スコア0=32%(N=40人)
スコア1=68%(N=85人)

原発巣部位
膀胱=65%(N=81人)
尿路上皮=35%(N=44人)

転移部位
リンパ節=10%(N=13人)
骨=41%(N=51人)
肝臓=40%(N=50人)
肺=42%(N=53人)

前治療歴中央値
3レジメン(1-6レジメン)

抗PD-1抗体薬または抗PD-L1抗体薬への応答性
レスポンダー=20%(N=25人)
非レスポンダー=80%(N=100人)

ネクチン-4発現レベル
中央値=290(14-300)

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である独立評価委員会による客観的奏効率(ORR)は44%(95%信頼区間:35.1%-53.2%)、奏効の内訳は完全奏効率(CR)12%、部分奏効率(PR)32%、病勢安定SD)28%、病勢進行(PD)18%、評価不能10%を示した。

副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は7.6ヶ月(95%信頼区間:4.93ヶ月-7.46ヶ月)。無増悪生存期間(PFS)も同様に中央値は5.8ヶ月(95%信頼区間:4.93ヶ月-7.46ヶ月)を示した。全生存期間(OS)中央値は11.7ヶ月(95%信頼区間:9.1ヶ月-未到達)を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は疲労が全グレードで30%、グレード3以上で6%、脱毛症が全グレードで49%、食欲減退が全グレードで44%、グレード3以上で1%、味覚異常が全グレードで40%、末梢感覚神経障害が全グレードで40%、グレード3以上で2%。なお、治療関連有害事象(TRAE)により減量した患者割合は32%、治療中止した患者割合は12%を示した。

以上のEV-201試験の結果よりJonathan E. Rosenberg氏らは以下のように結論を述べている。”白金製剤による化学療法および免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体薬または抗PD-L1抗体薬による治療歴のある局局所進行性または転移性尿路上皮がん患者に対するネクチン-4を標的とする抗体-薬物複合体エンホルツマブ ベドチン単剤療法は、臨床的意義のある客観的奏効率(ORR)を示しました。”

Pivotal Trial of Enfortumab Vedotin in Urothelial Carcinoma After Platinum and Anti-Programmed Death 1/Programmed Death Ligand 1 Therapy(J Clin Oncol. 2019 Jul 29:JCO1901140. doi: 10.1200/JCO.19.01140.)

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